「魔女の宅急便」を観てから、飛行船に乗ってみたかった。ふわりと優雅に空を回遊する姿は、大海を泳ぐ巨大なクジラのよう。その飛行船に試乗するチャンスが、ふいに訪れるなんて…激務に耐えてこの仕事しててよかった(涙)。
7/25、15:30の埼玉県桶川市。風速は約5メートル、少し強い。
桶川には、飛行船遊覧飛行クルーズを日本で唯一展開している、日本飛行船の発着所がある。今回は桶川から六本木など都心上空を一周する首都圏周遊クルーズで、約1時間半を予定している。
ジャンボジェットに匹敵する、全長75.1メートルのエンベロープ(バルーン部)を備えたキャビンには、操縦士を除いて9名しか乗ることができない。今回試乗した「ツェッペリンNT号」は世界で3機しかなく、日本に1機、ドイツに2機。その希少性と乗客の人数制限を考えると、1回148,000円〜168,000円(平日1名)という料金もうなずける。
いよいよ、発進。風がさらに強くなりゆらゆらとあおられながらの浮上を少し不安に感じたが、見えなくなるまで地上から手を振ってくれる8人のグランドクルーたちに、勇気付けられ気を取り直す。
飛行船は“自然に沿って”飛ぶ。たまに機体が左右に大きく揺れて、風の変わり目を体感できるのだ。キャビンの中はおおむね快適、冷房はないが、一か所窓が開いているため暑くはない。上空300メートルの風は涼しく、強く吹き込みとても気持ちがいい。眼下には、一面の家、家、家。さすが東京のベッドタウン埼玉県だ。とくに空から眺める団地の形は、ガンダムのようにごつごつと強大な雰囲気が出ていて、おもしろい。
と、揺れが大きくなってきた。積乱雲が発達、夕立の恐れがあるということで、荒川付近で引き返す。残念だが、追い風に乗って桶川に急ぐ。
機体が地上数十センチまで近づくと、待ち構えていたグランドクルーたちが1個10キログラムの重りを、ふわふわ浮遊するキャビンの下に15個ばかり投げ込む。そうすることで機体は沈み、やっと安定するのだ。
地上に降りると、ほどなく大粒の雨が降り出す。その後の便は欠航となった。
帰りにタクシーに乗った。運転手は遊覧クルーズの客を乗せることが多いらしく、「ご主人がリタイヤした後のご夫婦や親子三世代など、“家族”で参加する人が多いようです。上空から自分たちの住んでいる家が見たい、子供のころからの夢をかなえたい、と話されます」。
なお、ツアー販売をしているJTB西日本によると販売は好調、板橋花火大会などが観られる「プレミアムナイトクルーズ」は即完売も出たそうである。申し込みは下記の関連リンクを参照。【東京ウォーカー/高柳舞】