源氏物語の舞台、京都・嵐山で「源氏物語 千年の謎」スペシャルトーク開催(前編)

関西ウォーカー

毎年京都の夜を彩る「京都・嵐山花灯路」が、ことしも12/9から始まった。その開幕と京都を舞台にした映画『源氏物語 千年の謎』の公開を記念し、開会式で「『源氏物語』スペシャルトーク」が開催された。門川大作京都市長と映画の製作総指揮を務めた角川グループホールディングスの角川歴彦会長、映画で一条天皇の中宮彰子役を演じる女優の蓮佛美沙子さんが登場、玉置編集長がコーディネーターを務め、源氏物語と京都の魅力を語った。

京都の美しい四季を閉じ込めた作品

玉置 嵐山は源氏物語にもゆかりの深い地です。今回の映画では日本古典の頂点にある源氏物語を歴史エンタテインメントとして映画化、豪華絢爛の平安王朝を舞台に、生田斗真演じる光源氏の虚構の世界と中谷美紀演じる紫式部や東山紀之演じる藤原道長が生きた現実の世界を行き来する思い切ったストーリーとして描かれています。

門川 私はまだ1回しか試写を見ていませんがもう一度見たくなるすごい作品です。4年前、角川会長自身が構想を練り、大覚寺や勧修寺などあちこちを駆け回って、準備された。実は私も映画に出るようにといわれ、太秦の撮影所でかつら合わせまでしたのですが、撮影が雨で順延になり、残念ながら仕事の都合で出演できませんでした。でも、紫式部日記から見た源氏物語で、あのようにすばらしい映画が撮影できるのは京都の誇りです。

蓮佛 ちょうど昨年のいまごろ京都で撮影し、京都が本当に大好きな場所になりました。共演者もセットも芸術作品のようにすばらしく、光源氏の悲しみや葛藤もていねいに描かれているので、源氏物語を知っている人も知らない人も楽しめるステキな作品です。

角川 この映画ははじめから京都で撮影しようという思いで始まりました。市長はぜひ協力しようとロケに使った神社仏閣の紹介状も出していただき、感謝しています。映像には京都の美しい四季を閉じ込めているのでぜひ季節もご覧ください。市長が出演する予定だったのは土御門邸で道長が一条天皇を迎え、栄耀栄華の極みを演出する場面。撮影ができなかったのは残念でしたが、もしかしたらそこに市長が並んでいたかもと想像すると楽しいと思います。

この映画はいろいろな楽しみ方ができる作品。極力時代考証にも忠実に再現していますが、衣装だけは華やかなものにしたいと役柄にあわせたものにしています。西陣の若い人たちが名乗りを上げてくれ、衣装はすべて京都で作っているので、そこもご覧ください。

千年前の風景が残る京都

玉置 現実と虚構の世界を行き来する人物も現れて、かなりおもしろい構想ですね。

角川 源氏物語は何度も映画やドラマになっているので、同じような描き方はできないと悩んでいましたが、あるとき、安倍晴明と紫式部が同時代に道長に仕えていたのではないかと感じ、平安時代の権威の朧谷壽(おぼろや ひさし)同志社女子大学名誉教授に相談したところ、エンタテインメントとして道長と紫式部と安倍晴明を同時に出してもクレームは付かないだろうとアドバイスを受け、勇気を得て安倍晴明を登場させました。

門川 角川会長は「紫式部と晴明は都のどこかですれ違っているはずだ」と京都の街を何度も訪れて構想を固め、イメージをしっかりシナリオに落とし込んで映画を作られました。だからおもしろいのだと思います。渡月橋や下鴨神社、大覚寺など、京都の街には1000年前とほとんど変わらない風景が残り、伝統文化もきちんと伝えられている。これが京都の強みであり、それが生かされて映画ができるのはうれしいことです。

(後編に続く:http://news.walkerplus.com/2011/1216/22/)

※このスペシャルトークは2011年12/9「京都・嵐山花灯路」開会式にて開催されたものを再構成したものです。

なお、このスペシャルトークはUSTREAM「関西ウォーカーTV」でも配信されました。

アーカイブ動画URL:http://www.ustream.tv/recorded/19023499

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