神様もお休み?沖縄の世界遺産「斎場御嶽」に“休息日”設定

東京ウォーカー(全国版)

沖縄・南城市は2012年より、世界遺産に登録されている「斎場御嶽(せーふぁうたき)」に年間6日間の“休息日”を設けることを決定した。沖縄県での祭事は通常“旧暦”で行われることから、毎年旧暦の5月1~3日、10月1~3日の6日間に限り、人の出入りを禁止する。世界遺産である斎場御嶽に休息日を設定することは条例の改正が必要となるため、当面は2~3年をめどに試験運用を行い、再度検討する場を設けるという。

「斎場御嶽」は琉球王国時代より琉球の信仰における神女の最高位「聞得大君」の即位式などの国家儀式や霊地を巡拝する旅「東御廻り(アガリウマーイ)」での最高の聖地とされるなど、最重要の場所と位置付けられていた。近年の「パワースポット」ブームも相まって来訪者は年々増加傾向を示しており、平成23年度には約40万人の来訪者が予想されている。当局としては観光資源への注目はありがたいが、それに伴ってマナーの悪い入域客も多く見られるようになったという。携帯電話を操作しながら歩いていて知らずに祭壇に足を踏み入れてしまったり、神聖な石を蹴飛ばしてしまったりと、祈りを捧げる方からそうした苦情が多く寄せられていた。また、観光客の増加でオーバーユースによる自然生態系への影響も懸念されていることから、今回“休息日”を設けることに踏み切った。

同市の古謝景春市長は「斎場御嶽は沖縄県民の心の拠りどころであり、精神文化の基層。観光は開発していくべき部分と残すべき部分を見分けながら進めていかなければならない。そんな中、斎場御嶽を保全してほしいという強い声も上がっています。そして、旧暦に則って休息日を設けるという今回の施策は、旧暦を大事にしている沖縄文化を知っていただくよい機会になると期待しています」と思いを告白。また、「神様に休んでいただく日にしたいので、その6日間は誰一人立ち入り禁止となります」と“休息日”の位置づけを明言した。

現在では観光名所となって男女ともに足を踏み入れることができるが、元来、斎場御嶽など御嶽は“男子禁制”の場であったという事実はあまり知られていない。古謝市長は“休息日”よりも一歩進んで、斎場御嶽を元来の“男子禁制”のスタイルに戻したいという思いをずっと抱き続けている。それは、旧知念村出身の古謝市長の地元に対する強い愛情の表れにほかならない。同じく南城市の久高島にあるクボー御嶽は島内第一の聖域で、古来より現在に至るまで男子禁制の場。こうした事例がいまだに残っている南城市だけに、通年とは言わないまでも“期間限定”で男子禁制にするなどの設定も検討の余地があるかもしれない。

6日の休みの間は保全作業なども一切入らない、まさに神様のための完全休息日。6日間はわずかな休息かもしれないが、神様を敬う南城市の温かい心意気が感じられる施策だ。【東京ウォーカー】

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