毎日映画コンクールをダブル受賞!話題作「サウダーヂ」が関西で上映決定! 「町全体をテーマにしたかった」富田克也監督

関西ウォーカー

1/18に発表された第66回毎日映画コンクールでは日本映画優秀賞と監督賞をダブル受賞した、富田克也監督作品「サウダーヂ」が2/11(祝)からシネ・ヌーヴォでの上映を皮切りに、関西での上映が決定。この作品の記者会見が1/18に大阪の松竹試写室で行われ、富田監督とキャストの野口雄介さん(引きこもりの天野幸彦役)が登壇した。本作品は、空洞化が叫ばれてきた山梨県甲府市の中心街を舞台に、シャッター通り、ゴーストタウンと呼ばれてきたこの町に住む人々の姿が描かれる群像劇。

野口さんは「2年前から準備してきた作品が、ようやく関西で上映できることを光栄に思っています。多くの方に見ていただけたらと思っています」と、この作品に対する意気込みを語った。

ストーリーは土木建築業を支える労働者と、日系ブラジル人・タイ人などの外国人労働者との間で繰り広げられる人間模様。地元HIPHOPグループ「アーミービレッジ」のクルーである天野 猛は、同じくHIPHOPグループ「スモールパーク」を率いる日系ブラジル人デニスらに憎悪を覚える。そこに家族の崩壊、恋人とのすれ違いが重なり、猛の中で何かが膨れ上がり…。土方ひとすじで生きてきた堀 精司は、妻がいるなかタイ人ホステスのミャオに想いを寄せていく。精司は全てを捨ててミャオに、一緒にタイで暮らそうと告げるが、出稼ぎに来ている外国人労働者のミャオは…。日本人と外国人労働者の関係がリアルに描かれた直球作品に仕上がっている。

富田監督は作品を撮った経緯について聞かれると「この作品は地方都市の町全体をテーマにしようということで考えた映画なんですけども、それをどういう切り口にするかと考えた時に、土木建築業という職業を中心に語っていこうと、主人公を土方という職業にまず決めました。そこから1年間におよび現地でリサーチをする間に、外国人労働者のタイ人やフィリピン人の存在を知り、必然的にストーリーの中に入っていきました。日本人でも現在、経済格差や男女格差などもあり、世代差もあり、人種差もあるという、いろんな人たちの集合体が“町”である、ということでこのようなストーリーになりました」と作品の誕生秘話を明かした。

また、これは描きたかったというシーンについての質問に、富田監督は「世代差というのは描きたかったです。例えばオオクワガタのシーンもそうなんですが、今でこそ養殖なんかもありますけど、土木建築業の親方の(バブル)時代には、一匹何百万円というのもあったわけで、良い大人がクワガタ一匹に大騒ぎするという(笑)」とコメントした。

本作品で新たな試みを行ったという富田監督は「僕は今まで音楽を使うことを避けてきたんですが、この作品では初めて考えて、真剣に悩みぬいて音楽をたくさんとり入れた作品になります」と、この作品で使った音楽に対するに思い入れを語った。本作品では、ラップ、民族音楽、ロックなど、さまざまな音楽が印象的に使われている。

映画「サウダーヂ」は2/24(金)までシネ・ヌーヴォで上映され、3月は第七藝術劇場、以降は新京極シネラリーベ、神戸アートビレッジセンターと関西順次上映予定なので、お見逃しなく!

【関西ウォーカー編集部/近藤智樹】

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