『はやぶさ』主演の渡辺謙、自ら提案した観客との写真撮影でニッコリ

東京ウォーカー(全国版)

「はやぶさ」プロジェクトに情熱を傾けた宇宙科学技術者たちの、努力と葛藤を描いた映画『はやぶさ 遥かなる帰還』(2月11日[土]全国公開)。同作でプロジェクトマネージャーとして困難をきわめた世紀のミッションを成功へと導いたリーダーを熱演した主演の渡辺謙が2月4日、沖縄県那覇市の「シネマQ」で舞台あいさつを行った。

司会の福田萌子に紹介され、観客席後方から渡辺が姿を見せると、満席の会場からは大きな拍手と歓声が沸き起こった。時折、「謙さーん」という声援が上がる中、グレーのスーツに身を包んだ渡辺は、深々と一礼してステージへ。「今日はありがとうございます。何か届きましたでしょうか?」と映画を見終えた観客に語りかけ、客席が大きな拍手で応えると、「嬉しいです」とはにかんだ笑顔を見せた。

劇中のみならず、映画のプロジェクトマネージャーも務めた渡辺。作品への思いを尋ねられると、「はやぶさという夢のプロジェクトを映画にしようと一昨年の秋頃からスタートしたんですが、昨年の3月に大きな災害が起きて、日本中がさまよい始めた時、映画を撮っていていいんだろうか、という気持ちになった」と告白。「この映画はただ単にプロジェクトが成功した話ではなく、さまざまな困難に立ち向かっていった人間たちのドラマなんだ。だからこそ、この映画をみなさんに届ける意味がある、意義がある、そういうふうに思って、この映画を作りました」と、作品に込めた熱い思いを語った。

被災地で行った試写会について話が及ぶと、渡辺は「救援物資を持っていくこともできるけれど、やはり僕は作品を持っていくしかない。映画ができたら真っ先に届けるからねという思いで、被災地から試写会を始めることができた。そこから始まって、やっと沖縄にたどり着くことができました」とほっとした表情。「はやぶさの日本への帰還に、もし立ち会っていたら何を言ってあげたいですか?」との質問には「はやぶさくん、今君に見えているものはなんだい?って聞いてみたいです」と優しげな笑顔を浮かべた。

また、今後の目標を聞かれた渡辺は、「外国で仕事をさせて頂くようになって、目標がなくなった。でもそれは僕の中では悪いことではなくて、次に何があるんだろうとワクワクしながら待っている。大海原にぽつんと漂っていて、灯台が見えたらそこへ向かう。そんな状態を楽しんでいます」と、ハリウッドでも引っ張りだこの人気俳優でありながら、あくまで自然体。フォトセッションでは、自ら観客と一緒の撮影を提案し、ステージを降りて客席の前に立つと、笑顔で手を振り、観客と一緒に写真に収まるサービス精神を見せた。

最後にファンへのメッセージを求められた渡辺は、「本当にありがとうございます。今この時代に何か力になれること、そんな思いを込めてこの映画を作りました。今日、“カプセル”をやっとみなさんに届けられた。そのカプセルを持ち帰って、そっと開けてもらえればと思います。10年後、20年後、地球をになっていく若者たちに映画を見てほしい」と語り、深々と一礼すると、会場から割れんばかりの拍手が起きた。【東京ウォーカー】

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