気鋭の現代美術家・市川孝典が魅せる”線香画”とは!?

東京ウォーカー

森のような風景、香水のビン、標本箱の蝶々、展示されている作品を見ているだけでは、それが線香の炎で焦がしたものだとはわからない。市川孝典は、線香の淡い炎を使い仕立てるというスタイルで、「現代絵画をまったく異なる方向に大きく旋回させた」と称され注目を集めている現代美術家だ。自らの記憶をたどって紡ぎだされる作品は、その存在自体も危うさがあり、思わず息をのんでしまう。

「自分の記憶から消える前に、ものとして残したい、安心したい」という思いから作品を創り続けていると市川は語る。「作品を創って、展示されることで見た人たちが伝達してくれる、それでオレの安心がまた増えるんだよね」。

ひとつの作品を仕上げるのに、サイズは関係なく3日間は要するという。60種類以上もの線香を、温度や太さなどで使い分け、一切の下書きなしに少しずつ紙を焦がしながら描いていく。線香をツールとして選んだのは「紙へのダメージが少ない」から。「電気的なものだと、硬くて軟らかさが出ない」と続ける。

今回の展示会では、新作の35点を発表。まだまだ尽きることのない”記憶”から今後も不思議な線香画が生み出されていく。

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