マーブル模様やトラ柄の木目が美しいバッグや財布――、これらは“木目柄”を模したフェイクではない。木工芸品製造販売の谷口(石川県金沢市)が手掛ける「BOIS(ボイス)」シリーズは、樹齢数百年の本物の「木」を「革」と組み合わせた革新的なコラボレーション商品なのだ。
木や森を意味するフランス語の「BOIS(ボア)」にちなんで名付けられた同シリーズは、極薄にスライスした木材を牛革にミシンで縫い付けて製作。水にぬれても染みにならず、自然の木で作られているため、使えば使うほど味が出てくるのが特徴だ。
この「木」と「革」の奇跡のコラボを実現させたのは、木のエキスパートである谷口が開発した「柔らかな木」。0.12~0.15mmの薄さにスライスした、サクラ、ヒノキといった木材の裏面に、特殊な接着剤で不織布を張り合わせて加工したものだ。なんとこの木、折り曲げても割れず、縫製することもできるというから驚きだ。
昭和22年から国産木材を使って食器や家具、インテリア小物などの木製工芸品を製造してきた谷口。食器やギフト品の需要が減少する中、「新たな事業の柱を作りたい」と10年ほど前から新商品の開発に乗り出した。照明器具の傘に薄くはいだ木を張る技術がBOISシリーズのヒントとなり、強度の問題などをクリアし“木と革”の商品を完成させた。
2009年6月の販売開始から評判は上々。2010年には石川ブランド優秀新製品認定企業62社の中から、新製品の特別賞も受賞した。現在は女性用のバッグや財布にとどまらず、マウスパッドやUSBメモリ、ブックカバーなどラインナップは多岐にわたる。価格はバッグが3万6750円から、財布が1万3650円から。首都圏の大手百貨店、金沢市と穴水町にある自社店舗、ネットショップで購入が可能だ。
世界にひとつだけのオンリーワンのデザイン、本物の木ならではのほのかな香り、そしてまるで毛皮のような質感と風合い。「木」を身に着ける、「木」を持ち歩く。自然派志向の人はもちろん、ありふれたバッグに飽きた人に、ひと味もふた味も違うこのシリーズをオススメしたい。【東京ウォーカー】