夜になると、独特のふわりとした灯りが無数に灯り、まるでライトアップされているかのように美しく浮かび上がる工場地帯の夜景。写真集が好評を博すなど、工場夜景を無機質な造形美として楽しむ「工場萌え」の世界が人気だ。
室蘭・川崎・四日市と並び「日本四大工場夜景エリア」としてその規模を誇る福岡県北九州市では、11年2月に「北九州工場群夜景観賞ツアー」の定期催行をスタート。わずか1年でのべ参加者が1000名を超えるという大ヒットツアーとなった。参加者の声がツアー内容に反映され、第4弾となる現行のツアーはチャータークルーズで奥洞海地区の化学コンビナート群を至近距離で観賞し、バスの車窓からは洞海湾周辺の工場群の夜景や製鉄所の高炉跡なども観賞、工場の対岸から下車観光して締めくくるという盛りだくさんの内容だ。
戸畑渡場から出発するチャータークルーズでは、海岸沿いに化学コンビナートが連なる洞海湾を約1時間たっぷりクルージング。煙をあげる煙突、夜間照明に照らされるタンク、大きくうねるダクト、岸壁にそそり立つガントリークレーンなど、クルーズならではの見どころが満載だ。これからの季節は、天気がよければ工場群に夕陽が沈む美しい光景を見られることも。
車窓からの観賞時は車内の電灯を消し、美しい洞海湾周辺の工場群の夜景や、北九州市の文化財にも指定されている官営八幡製鉄所の東田第一高炉跡などを観賞。クルーズで巡った眺望とは別の眺めを楽しみながら進む。ツアーを通してガイドが語ってくれる、工場の概要や歴史にまつわる話も興味深い。
ツアーの締めくくりには、カーボン工場などを対岸に臨む港で下車観光。24時間稼動する化学工場独特の雰囲気がたちこめるこのスポットでは、じっくりと観賞、撮影することができる。ブレずに撮影するには三脚が欠かせないので、忘れず持参しよう。
レトロなムード漂う港町・門司、九州最大のカルスト台地・平尾台など、工場夜景以外にも北九州市には見どころがいっぱい。歴史ある工場地帯の夜景を堪能しに、北九州市へ行こう。
【街角ウォーカー編集部/座親万梨枝】