“エキナカ”の次に来るトレンドとして、現在、密かに注目されている「駅」×「エンターテインメント」の新トレンド“エキタメ”。東京駅八重洲口側で営業中の商業施設「東京駅一番街」では、この“駅に滞在する時間そのものを楽しむこと”に着目したエキタメを反映したブースが続々と展開され、話題を集めているという。
「東京駅一番街」は2005年のオープン以来、大勢の観光客や買い物客、通勤客が平日・休日を問わず訪れている人気スポットで、地下1階、1階、2階の3エリアで構成される施設内には約100店もの個性的な店舗が並び、幅広い層から親しまれる憩いの場としても知られている。また、1階はお土産物店が集積した「おみやげプラザ」、2階は飲食店街になった「ごちそうプラザ」、そして地下は北通りに「東京キャラクターストリート」、南通りに「東京ラーメンストリート」と、エリア毎に様々な特色を打ち出している。
そんな同施設に、エキタメを意識した新たな面白スポットが登場する。それが4月14日(土)に地下エリアでニューオープンする「東京お菓子ランド」だ。江崎グリコが運営する「ぐりこ・や Kitchen」をはじめ、森永製菓の「森永のおかしなおかし屋さん」、カルビーの「カルビープラス」など、日本を代表する大手製菓メーカーのアンテナショップが一堂に会した日本発のお菓子のテーマゾーンだ。各ショップでは、大粒アーモンドをチョコがけし、ココアパウダーで仕上げた「アーモンドチョコレート カカオ仕上げ」や、ジャガイモの「バウムクーヘンラスク」、サツマイモの「さくさく栗黄金」といった地域限定商品が販売される他、巨大ハイチュウを使った実演デモなど、お菓子を作る工程やデモンストレーションを楽しみながら、作り立てのメニューをその場で購入できるコーナーもできる。さらに、他では手に入らない限定グッズも販売しており、“ここだけ”感が堪能できるのも、同スポットならではの魅力だ。
一方、既に営業中のエリアでも、エキタメ要素を取り入れた新ブースが次々とオープン。人気キャラクターのグッズショップやテレビ局ショップなど、全21店舗で構成されている「キャラクターストリート」では、3月より「ハローキティショップ」をはじめ、新たに3つの注目店が仲間入りした。これにより、エリアの集客力や話題性がさらにパワーアップするのは間違いないだろう。そして、「キャラクターストリート」と同じ地下フロアで展開中の「東京ラーメンストリート」では、開業一周年を迎えるに当たって、エリア全体のバランスを強化。現在営業中の8店舗がそれぞれの味を徹底追及し、全店揃って行列のできる店になることを目指すという。利用客にとっても“並んで食べた”という経験は、きっと特別な思い出になるはずだ。
こういった駅商業施設がより便利に、より快適になっていく流れについて、商品ジャーナリストの北村森さんに意見を聞いてみたところ、「駅の商業施設化が進む背景には、2つの要因があります。1つはビジネスをする側にとって、駅の集客力や立地は“都心に残った最後の聖地”であること。だからこそ、何とかアイデアをひねり出して、何度も訪れたくなるような魅力的な商業施設を作り出そうとするんです。そして、もう1つの要因は、消費者の『買い物時にお金も時間も無駄にしたくない』という欲求。効率よく満足度の高い買い物をしたい消費者にとって、日常的に使う駅は、時間を無駄にしたくないニーズに適った絶好のスポットなんです。この開発者と消費者の思いが上手くかみ合い、両輪となって、駅の商業施設化を加速的に早める原動力になったわけです」と話してくれた。
お台場の新ランドマーク「ダイバーシティ東京」(4月19日オープン)や渋谷駅直結の複合商業施設「渋谷ヒカリエ」(4月26日オープン)、東京の新シンボル・東京スカイツリーに隣接する「東京ソラマチ」(5月22日オープン)など、個性的な商業施設が次々に誕生していくなか、“エキタメ”という新たなトレンドに注目し、それらとは一線を画す商業展開を繰り広げている「東京駅一番街」。同施設が今後どのような展開を見せてくれるのか、大いに期待しつつ、その動向を見守っていきたい。【東京ウォーカー】