先日行われた「第4回沖縄国際映画祭」最終日の3月31日、沖縄コンベンションセンター・シアター1で、映画『莫逆家族 バクギャクファミーリア』の上映前に舞台あいさつが行われ、熊切和嘉監督、チュートリアル・徳井義実、林遣都が登壇した。
この作品は、1999年から2004年に週刊ヤングマガジンで連載されていた田中宏原作のコミックを映画化したもの。かつて関東一の暴走族“神叉(じんしゃ)”のトップとして関東中を暴れ回り、数々の伝説を残した主人公・火野鉄(徳井)とその仲間たち。十数年たち、ある事件をきっかけに再び結束を取り戻し、彼らのルールで仲間やその家族を守ることを決意するという映画だ。
映画祭最終日は、強風が吹き荒れるあいにくの曇り空となったが、沖縄に来た感想を聞かれた熊切監督は、「さっき着いたばかりなんですけど、沖縄は初めてなので楽しみです」と笑顔。続いて4回目の参加となる徳井が、「年々、来るたびにキャバ嬢の知り合いが増えていく」とキャバ嬢の名前を挙げながらおなじみの“エロネタ”を披露すると、会場に詰めかけた観客たちは大喜びだった。
また、映画主演を果たしたことに話がおよぶと「ほかの出演者がすごい人たちばかりなので、最初はかなりプレッシャーだったんですが、結果的にすごく楽しくやらせていただきました」と振り返り、阿部サダヲ、玉山鉄二のほか、大森南朋、北村一輝、村上淳、倍賞美津子など、そうそうたるメンバーとの共演についても、「緊張感はありました。特に、倍賞美津子さんにビンタされるシーンがあったんですけど、大女優の気迫がすごかったですね。さすが(アントニオ)猪木の元奥さんっていうね。いろいろ感慨深かったです」と話し、爆笑をさらった。
一方の林は、前日に沖縄入り。「昨日、泡盛をたくさんいただきました。二日酔いでここに立っています」と笑顔で話すと、“俳優・徳井”の演技について聞かれ、「追い込んで筋トレされたみたいで本当にゴツくて。あまり話さなかったんですが、そのおかげで役柄上、いい距離感を保てたんじゃないかと思います」と徳井のストイックな一面を暴露。徳井演じる火野鉄の息子・周平を演じたことについても「周平という男は不器用で、親とうまく接することができないんです。僕はもっとしゃべりたかったんですけど…。でも実際の徳井さんとも距離感があったことで、最後にいいシーンが撮れたと思います。格好いい親父でした」と語り、徳井も「(親子の掛け合いについて)息子がいたらこういう感じなのかな、と思うことがあった」と、今まで感じたことのない気持ちで撮影に臨んでいたことを告白。「全然慕ってくれて構わなかったんですけど、いっさい(メール)アドレスは聞かれませんでした…」と、少し寂しそうな表情を見せつつ、最後は「シャイ同士だからこそこの親子関係ができたのかなと思います」と、充実した日々を送っていたことをうかがわせた。
また、熊切監督が「華のある人だなと思っていました。でも実は陰りや切なさを感じる面がありまして…」と、徳井の起用について話すと、徳井は「聞きましたか? 哀愁ね!」と得意顔。さらに「徳井の良さを具体的に!」とあおるも、「初めて会った時は捨て犬のような感じで…」と表現され、「いや、監督もなかなかの捨て犬感ですよ!」と反論しながら、終始笑い混じりの掛け合いで観客の笑いを誘った。
また、舞台あいさつの後に行われた囲み取材では、原作漫画にある男女の絡みがばっさりカットしてある意図について、熊切監督は「男同士の、もっと“ヒリヒリ”したものが表現したくて。ストイックな映画にしたかったので、入れませんでした」とコメント。そんな監督の発言とは裏腹に“芸人・徳井”の“スケベ”な面も評価している林は、「スケベなところを堂々と言うところも格好いいなと思います」とニヤリ。それに気を良くした徳井から「下ネタは世代を超える!」と迷言(?)が飛び出し、記者たちの笑いを取ると、最後に林が「オヤジたちは格好良かったです。あのメンバーが集まった時、この人たちといれば無敵なんじゃないかと思いました」とコメント。さらに主人公・火野鉄との共通する点を聞かれた徳井は、「大事な家族や友達を守っていくという気持ちは同じ」と主演らしく締めた。【東京ウォーカー】