【小説家デビュー!NEWS・加藤シゲアキ インタビュー:その2】“自分のダシが出てる!?” 小説「ピンクとグレー」について直撃!

関西ウォーカー

(その1)の続き※URL:http://news.walkerplus.com/2012/0507/21/

―確かにポール・トーマス・アンダーソンは、そういう感覚ありますよね。良い意味での後味の悪さが。今回の小説も良い意味での。そういう後味の悪さがあったんですよ。独特の疲れが。

「それは、嬉しいです。『感想が言いづらい…』という感想が欲しかったですから。でも、メンバーの小山(慶一郎)も3回も読んでくれて、2ページ分くらいの感想をくれましたよ。ありがたいです」

―僕が一番良いなと思うのは、今までの加藤君のファンが、この作品をきっかけに色々なカルチャーに触れ合う機会ができるんじゃないかと。音楽の趣味の幅とか、絶対に広がるし。

「ファンの人のためというのではないけど、これを機に興味を持ってくれたら嬉しいですね。音が流れてないのに、何となく音が流れてるような感覚をこの小説に持たせたかったので。斉藤和義さんの歌詞と何となく重なったりとか。本当に書いていて、楽しかったですよ」

―観てきた景色が書きやすいと言っていたけど、単なる私小説…、特に芸能界が舞台だと暴露的な勘違いをする人もいるかもだけど、そういう単純な内容じゃないのが良いなって思います。

「私小説ではなく、フィクションでありたかったですから。構造はできていても、中身の会話とかは難しかったですね。でも、やっぱり人が亡くなる話は書いていても疲れますよね。ただ、やはり残酷にしたかったんです。不器用でいいから熱を持って、でも冷たい文章というか…」

―映画化とかなったら、おもしろいけどね。

「自分の手を離れて、そういう事になるのは嬉しいですね。『勝手に料理してください!』という感じです」

―次回作も気になりますが。

「がらっと変わっちゃう気はします。何も考えずに、書いてみようと。まぁ、ゼロ年代世代からのオマージュといいますか…。でも、本屋に行ったら悲しくなりますよ。まだまだ読んでない本がたくさんあって、なのに何で自分は書くんだろうって。でも、飛び込んじゃいましたから」

―まだ24歳で、これからですよね。

「若手でもベテランでもない世代というか…。今回も27年の生涯を書いてますけど、それも偶然で。27歳で亡くなるアーティストの方、多いじゃないですか」

―ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリン…、最近だとエイミー・ワインハウス…、で、今回の小説の遺書のくだりで出てくるカート・コバーン…。日本人も多いですし。

「こうなるもんだなって…。尾崎豊さんとか…、僕も同じ学校出身ですし。ピースがはまっていくというか…、繋がっていくというか…」

―だから、加藤君の中のカルチャー要素が自然にふんだんに出た作品なんでしょうね。

「友達にも言われました、『おまえのダシが出てる!』って(笑)。でも、そういう部分のバランスは難しいですよ。あまりにも出しすぎると、本業に戻れなくなりますから。NEWSだから、書けた部分もあるし。あくまで、今回もアイドル活動のひとつですから」

―うん、そこが良いと思うんですよ。変にアイドルを脱皮しようとして、背伸びして文化人気取ったりしないから良いなって。

「うん、だって、ひねくれちゃっても仕方ないですから。ただ、単なるラブストーリーは書きたくなかったんですよね」

―そういう部分は素晴らしいと思います。これからも、ええ感じにダシを出してください。

「ありがとうございます」

(終わり)

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【取材・文=鈴木淳史】

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