5月21日(月)の早朝に、日本の広い範囲で見ることができる金環日食。東京で見られるのは実に約173年ぶりという“世紀の天文ショー”がいよいよカウントダウンとなり、あわてて日食グラスを用意しようという人も多いはず。そこで、金環日食をしっかりと楽しむための手軽な方法をお伝えしよう。
まずは基礎知識。そもそも日食とは、太陽の前を月が横切る時、一時的に太陽が隠れてしまう現象のこと。太陽全体が隠れる日食を「皆既日食」と呼ぶのに対し、「金環日食」は月の周りからわずかに太陽がはみ出し、光のリングができる日食のことだ。一般的に「皆既日食」の方が広く知られているためか勘違いされがちなのだが、「金環日食」が起こっても、地球上は暗くなりはしない。では、「金環日食」を手軽に楽しむための3つの方法を紹介しよう!
●観測するには東側が開けた場所へ!
「金環日食が見える方角は真東で、高さは約35度。周囲に遮るものがなく空を広く見渡せる場所がベスト。近くの公園や広場からでもハッキリ見えると思います。写真で見たことはあると思いますが、実物はもっと美しく神秘的ですよ」と話してくれたのは、“日食ハンター”こと大越治さん。「前回、東京で見られたのは江戸時代末期なので、約173年ぶり。次に東京で見られるのは300年後ですから、東京在住者が自宅から金環日食を楽しめる、一生に一度のチャンスです!」
●観測する時は日食グラスを!
金環日食を見る時は、必ず専用の日食グラスや遮光板を使用して見ること! 人間の目は、1秒以上太陽を正視すると、網膜中心部の黄斑に異常が出るという報告がある。それが“日食網膜症”だ。各社からさまざまな観察用グッズが発売されているので、品質のよいものを選んで購入しておこう。
●スマホでの撮影には“遮光板”を用意すべし!
レンズの小さなデジカメや携帯電話のカメラで金環日食を撮影するなら、太陽観察用の遮光版があればOK。遮光版を手にかざしながら、片手でデジカメや携帯電話カメラのシャッターを押すだけだ。カメラを向ける時に、太陽の光を目に入れないように注意しよう。さらに大越さんによると、ちょっとユニークな“撮影”もあるという。「日食の時は、小さな穴を通って投影される太陽の像も日食の形になります。地面に映った日食をカメラで撮影しても、いい記念になるでしょう」。
いよいよ目前に迫った金環日食。実は2012年はほかにも、6月6日には「金星の日面通過」が全国で観測可能で、さらに「金星食」という、金星が月に隠される現象が8月14日の未明に起こるなど、“天体ショーの当たり年”だ。まずは今回の金環日食にしっかり準備をして臨んで、“世紀の天体観測イヤー”を楽しみたいものだ。【東京ウォーカー】