居酒屋やカフェも登場!現代に根付いた“落語ブーム”

東京ウォーカー

近年再び若者の間で人気となりつつある落語。そういえば、中山功太の劇的な優勝で幕を閉じた「R-1ぐらんぷり2009」の“R”は“落語”に由来しているという。今もしっかりと根付く「落語」という文化。さらに最近では、初心者が気軽に落語を楽しめる居酒屋やカフェが人気になっているという。

記者のまわりでも、「寄席に行った友達が『面白かった』って勧めてくれました。私も行きたいなと思うけど、知識も無いし一人で寄席に行く勇気はちょっとないかな(笑)」(24歳・女性) という初心者らしい悩みがよく聞かれる。

彼女のように、「落語を楽しみたいけど、どうしていいのか分からない」という人は、意外に多いのではないだろうか。そこで、話題の落語が聴ける居酒屋やカフェに潜入取材を敢行。お客さんの声や、その楽しみ方を探ってみた。

6年前から落語会を開催しているのは、「居酒屋 竹子」(神楽坂)。

「お酒を飲みながら、落語を聞ける居酒屋」として知る人ぞ知るスポットで、毎回130名以上のお客さんが集まるという人気店。落語会は月に1度のペースで行われており、料金は飲み放題で1人2625円。20:00から始まり、最後は噺家さん自ら振舞うプレゼントタイムもある。

「特に宣伝もしていないので、お客様は口コミで集まってくれています。始めた当初は年配の方が目立ちましたが、最近は30代・40代の方や若い方が多いですね。『寄席はちょっと敷居が高い気がして…』という方に、“いつもの居酒屋”感覚で落語を楽んでもらっています」(「居酒屋 竹子」店長)

記者がお邪魔したときも、ビールを片手に高座を待つサラリーマンやOLで、何とも和やかな雰囲気。ゲストの三笑亭夢吉さんも、ホロ酔い気分になったお客さんとコミュニケーションを取りながら、フロア全体を笑いで包んでいたのが印象的だった。

一方、より寄席の感覚に近いのが、その名も「らくごカフェ」(神保町)だ。

前売り券1500円(ワンドリンク付き)で、3つの噺が聴ける初心者にはうれしい同店。2/3にオープンしたばかりだが、最初の火曜会(高座)から、約50名のキャパが予約で埋まってしまうというから、人気はかなりのもの。

「最近は着物や時代劇など、和の文化が見直されてきてますよね。落語も、現代の大衆文化として、やっと定着してきたんだと思いますよ。だから僕は落語をブームだとは思ってないんですよ」と言うのは、「らくごカフェ」オーナーの青木さん。たしかに、お客さんを見ても、1人で来ている20代・30代の女性もいる。彼女たちが思う、落語の魅力とは何なのだろう?

「噺家さんそれぞれによって同じ演目でも、話し方が違うんですよ。その新鮮さや奥深さが魅力ですね。今は寄席はどこもいっぱいなんです。だから『らくごカフェ』のように気軽に入れるスポットが増えるのはうれしいですよね」(30代・女性)

取材時の噺家さんは、柳家初花さんと五街道弥助さん。誰でも入りやすい「寿限無」からはじまり、聞き込ませる「ねずみ穴」、「寝床」の3席を披露してくれた。

実は、記者の友人に「連続テレビ小説 ちりとてちん」(NHK)に影響され、会社を辞めて某落語家に弟子入りしようとしている人がいる。それだけ、はまったら追求したくなる魅力が、落語にはあるのだろう。

落語のCD付き雑誌や、DVDコレクションなども続々と発売され、TV・映画だけでなく書店にもそのムーブメントがやってきた落語人気。落語初心者の人も、まずは「居酒屋 竹子」や「らくごカフェ」で、落語の世界を味わってみては? 気軽に楽しみながら、気づけばその奥深い世界にどっぷり浸ってしまうかも。 【東京ウォーカー/安藤真梨】

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