06年に大ヒットを飛ばした映画「フラガール」。その感動の舞台となった福島県いわき市が、「フラ」で町おこしを狙っている。
映画の成功を受けて「スパリゾートハワイアンズ(旧・常磐ハワイアンセンター)」は07年に入場者数が過去最高の161万人を記録。さらにいわき市では2011年に「いわき・フラガール・フェスティバル」なる国際ダンス・フェスティバルの開催が企画され「国際観光都市」に進化しようとしているのだ。
そうくれば、ぜひともほしいのは「ご当地メシ」。昨今の「B-1グランプリ」の盛況を持ち出すまでもなく、ご当地のB級グルメはアピールポイントになりやすい。国際観光都市への野望を抱くいわき市が考案したご当地メシの名は…「フラ丼」「フラ汁」だ。この新ご当地メシが、2/14に福島で披露されるという。いったいどんな味がするのか? あの名作映画に涙を流した記者は、たまらず福島へと向かった。
東京からバスで約3時間かけて福島県いわき市に到着。早速「フラ丼」と「フラ汁」を食べられる機会が訪れた。
待つこと数分。満を持して登場した「フラ丼」は…ひと言で表せば「具沢山の海鮮丼」! いわきの漁港で獲れた新鮮な魚の切り身に、いわき産のトマトなどの型崩れした野菜を使用し、上にココナッツパウダーをまぶしたトロピカルな一品だった。
「特製の“しょう油フラだれ”“みそフラだれ”をお好みでかけて食べてください」との言葉がかけられる。そして恐る恐るたれをかけ口に運ぶと、口の中に広がったのは…ココナッツの濃厚な風味に特製だれの味、魚の食感が交差した「いわき・ミーツ・ハワイ」な世界!“材料ごった煮”が生んだ魅惑的な(特異な?)存在感だった。
もう一品の目玉「フラ汁」は具沢山の洋風スープ。具はいわきの漁港に揚がった“新鮮だが売り物にならない小魚”と“型崩れの野菜”らしい。だが、ブイヤベース風の味つけがよく、マイナスとマイナスの要素を足してプラスにした感じ。ココナッツミルクを使用したトロピカルな風味が、南国のイメージを喚起させる。…実はどちらのメニューもまだ試作段階ということもあり、今後改良を重ねて大々的に売り出す予定という。
かつては「炭鉱の街」として知られ、「常磐ハワイアンセンター」の成功で「観光の街」へと生まれ変わったいわき市。そのエピソードの一端は、映画「フラガール」にも登場した。今度はその「フラガール」を武器に国際ダンス・フェスを企画し、さらに「国際観光都市」へと変貌しようと鼻息が荒い。いったいどんな感動のドラマと共に成功への道を歩むのか? その行方が映画になるかどうかは別として、要注目だ。【東京ウォーカー/中道圭吾】