人間国宝・桂米朝師匠の米寿記念として、8/1(水)からサンケイホールブリーゼで開催される「米朝一門 夏祭り」。創刊18周年を迎える情報誌「関西ウォーカー」が、このおめでたいイベントに絡み、落語家さんと記念コラボ、6/27(水)に初の“落語UST”を配信した。(アーカイブはhttp://www.ustream.tv/recorded/23596937)
出演してくれたのは米朝一門期待の噺家三人衆、桂佐ん吉、桂吉の丞、桂二乗の面々。番組終了後も盛り上がったマジメ&おもしろトークを、「米朝一門 夏祭り」の出演順に3回に渡って1人ずつ紹介、3人の素顔に迫る!
第二回目は、8/2木18:30「地獄八景 米朝一門の戯れ」で「東の旅・煮売屋」を演じる桂 二乗。
桂 二乗 1978年5/29、三重県生まれ。2003年7月、桂 米二に入門。ウヰスキーが大好き。趣味は、ルアーフィッシング、ガンダム模型作り、料理。特技は、洋酒カクテル作り。
※「東の旅」とは、「入門したら基本を覚えるためにまずやります。ただ、今どきの内容ではないので、初舞台であったり今回のような企画の時ぐらいしか、舞台に出る機会は少ない噺です」。喜六と清ハが、大阪から伊勢へとにぎやかに旅をする珍道中を描く噺だ。『発端』『煮売屋』『七度狐』と続く物語を、「米朝一門夏祭り」では1日、2日、9日にトップバッターを務める吉の丞、二乗、佐ん吉が口演する。
Q:落語家になる前の職業、そして落語家になったきっかけは?
「フリーターでした。NSCでコントしたり、一人芝居したり。たまたま生の落語を聞いた時、お笑いも演劇的要素もあって、「この世界や!」と思いました。子どもから女性まで、自分じゃない他の人の人生を経験できる。アリの行列を体育座りでボーっと眺めているような内向的な人間が、高座に出たらいろんな人を演じることが出来る。しかも、ウケたら全部自分の喜び。主役やりたかったんですよ。米二師匠に出会って「この人や!」と一目ぼれして、1年半ぐらい会に通い詰めました。師匠には「私はまだ弟子取るのは早いから」って言われていて。で、ある料亭の大将が師匠のごひいきさんで、その人が「弟子取りなはれ。空いてる時間はウチで面倒みたるわ」って言ってくれて、弟子になることが出来たんです。京都の祇園にある料亭で3年間、板前のアルバイトをさせていただきました。落語の稽古しながらカツラムキとかしてましたね」
Q:お稽古は大変じゃないですか?
「しんどい時もありますけど、ネタくってて、ある瞬間、急に楽しくなる時がありますね。稽古は家ですることが多いです。まだ固まってないというか、自分の中に入ってないのに外で歩きながらネタくるとムチャクチャになりますんで、まずきっちりやる。それから、自分がこうしたいなと思う、ある程度のところまで自分の中に入ったら外で稽古したり」
Q:今後の目標は?
「ボクも、もう10年になるんで。その節目は、まず独演会のようなものをどっかでしないといけないなと。今年丸9年なんです。そこまでに、今自分の持ってるネタと新しいネタは自分の勉強会でかけていって。そこは今パッケージで、自分が今できあがりました、今の自分はこれです、というものを持っていこうという、そんな段階ですかね。ネタもそうですし、お客さんを呼ぶっていう、努力することもそうですし。節目なんで、そこで10年やったらこうなりましたっていうパッケージをきっちりできるように。もうギリギリですけど、これからしっかり固めていって。後は、自分の勉強会なんかで、よほど自分でやらないとできないネタ、よそではできないネタ、大ネタも覚えて試す。これはもうみんな同じで、勉強会でやってます。キャリアの近い人の落語会に行くと、刺激もされますけど、違うジャンルの人を観ると、わ~稽古せなあかんって思うんですよ。だから、自分の近い人で違うジャンルの人と知り合う機会があったら、お願いしたりしてます。狂言の人に頼んだりね。それは、自分が見てスイッチを入れたいということ。勉強会ってそういうもので、自分で「やらなあかん」って思うためにやるんです。で、来年、10年になりますから、今までスイッチ入れてきたのをまとめて、こういう形になりましたと。まずは10年ですね」
Q:落語ブームの前に入門されました。
「落語会がなくてね。だから楽屋が噺家でいっぱいになってました。でも、ある意味いい時期やったと思います。あたり前にバイトしてはる先輩がいたし、自分らもそういうもんやと思ってましたしね。僕はバイトしなかったですけど、ボクらに仕事があったのは、ボクらが頑張ったんじゃない。上の方が頑張って仕事を増やしはって、ボクらが枠として新しいのが使いやすいからって、入れてもうただけなんです。自分らが新しい会を開拓したわけやない、上の方のおかげ。それを見ているので、自分らもそうやって広げていかないとまた下っていく、という思いがあります」
Q:小さな場所と大きなホール、落語はどちらの空間が好きですか?
「どっちも楽しいですね。ホールは、一人でこれだけ大勢の人と相対してできるっていう気持ちも、それだけの人が見て聞いてくれてるんやっていう思いもありますし。また、お座敷に呼ばれてっていうのも、小さいとこはちいさいとこで、親戚みたいな楽しさがあります。ただ、サンケイホールっていうのは僕らにとって何とも言えない、聖地のようなところなんですよ。そこで落語ができる!みたいな。他のところがどう、っていうんじゃないんですよね。自分がこの世界に入って、サンケイホールのあのお客さんたちの前で、自分が高座に座ってしゃべれる。それはもう、特別なんです」
Q:関西で好きなスポットは?
「京都かな~。大阪に6年住んで、入門で京都に住んだんですけど。京都って、よぉでけた町やなぁと。住んで、もう離れたくないなと思ってます。京都御所もいいですけど、鴨川は最強やと思う。たまに笛のお稽古したり、ネタくるのも、全部できるところ。動物も鳥もいて、飲みに行こうと思ったら、すぐ町があって。京都にはお店もいろいろあるけど、鴨川があるのとないのとでは、京都って町は全然違うと思ってます」
京都が好きで、名前の通り京都市二条に住んでいる桂 二乗。連載3回目(7/25水配信)は、桂 佐ん吉が登場するので、お見逃しなく!
【取材・文】ドルフィン・コミュニケーション(はーこ)