ニューヨークの動物園を飛び出した動物たちの奮闘を描いたCGアニメーション、シリーズ3作目にして初の3D作品となった『マダガスカル3』が8月1日(水)に劇場公開される。ライオンのアレックス、シマウマのマーティ、キリンのメルマン、カバのグロリアら個性的なキャラクターたちの冒険を描き、大人から子どもまで幅広い層に支持されている本シリーズについて、今回キャンペーンのために来日したエリック・ダーネル監督に直撃取材を敢行! 最新作の見どころを中心に話を聞いた。
Q:今回の作品は様々なジャンルが盛り込まれていて映像も華やかです。最新作はどのように制作されたのでしょうか?
アニメーションというのは各パートを担当するアーティストによるコラボレーションで作られています。映画の骨格となる脚本があり、それをもとにストーリーアーティストと呼ばれるスタッフが絵コンテを描いていきます。ストーリーアーティストたちが考えたアイディアが脚本に反映されることもありますし、また声優のアイディアが採用され、キャラクターの個性や性格が形成されることもあります。たとえば今回登場する新キャラクターのデュボア警部ですが、声を担当したフランシス・マクドーマンドが、このキャラクターをとても気にいってくれたのです。劇中でデュボア警部が唄うシーンがありますが、それは彼女のアイディアです。映画に関わるみんなで意見を出し合い何度も作り直す過程を経ることで、いろいろな設定やシーンが生まれてくるのですよ。
Q:今回はシリーズ初の3Dですが、映像づくりでこだわった点を教えてください
3D映像を作る上で気をつけたことは、飛び出す映像でお客さんの鑑賞の邪魔をしてはいけないということです。ただ理由もなく観客の皆さんに映像を投げつけるような演出をしてしまうと、お客さんが作品の世界から引いてしまう可能性もあります。制作中はその点に気を使いながら映像を作りました。ただ、シリーズ前2作を見ていると、私たちはすでに3Dに映える演出をしていたことに気づいたんです。3Dになったからといって、『マダガスカル3』が持っている作風やトーンを変えることなく、自然に作品世界に入り込んでもらえることを考えながら3Dに取り組みました。
Q:シリーズでお馴染みのキャラクターがクライマックスではサーカスに挑戦していますね。
サーカスのシーンは、あらゆる要素をまとめて表現しないといけない難しいシーンでした。映像に関しては3Dという新たな挑戦があって、物語の部分では、そのシーンでキャラクターたちの達成感や幸福感を描いて、お客さんにカタルシスを感じてもらわないといけません。それぞれのキャラクターがおかれている状況をより効果的に表現するための音楽としてケイティ・ペリーのヒット曲「ファイヤーワーク」を使用しました。美しい映像とあいまって、“深み”のあるシーンが作れましたね。
Q:日本語吹替版のボイスキャストについてはどんな印象を持っていますか?
シマウマのマーティを演じてくれている柳沢慎吾さんと会って感じたことは、彼は本当に快活で、かつ愉快で楽しい人物だということです。その点でマーティのキャラクターにとてもマッチしている俳優だと思います。さらに彼のすばらしいところは、ただ翻訳されたセリフをしゃべるだけじゃなくて、オリジナルを超えて、マーティに彼自身の個性を取り入れているところです。日本のお客さんがより親しみやすいマーティ像を作り上げていますね。
-こちらの質問に対して丁寧な回答を返してくれたエリック・ダーネル監督。終始、穏やかなムードで進められたインタビューの後編では、キャラクターの話から日本のアニメーションへの想い、さらにインタビュー当日に行われた舞台挨拶の模様をお届けします!
※後編はコチラ!→http://news.walkerplus.com/2012/0720/22/
【取材・文・撮影=関西ウォーカー編集部 鈴木大志】