演劇プロデュース・ユニット空想組曲の新作「組曲回廊」が東京・下北沢OFFOFFシアターにて上演中。コメディーからファンタジー、ラブストーリーなど10本以上の短編が最終的に一つの長編につながる舞台だ。作・演出のほさかようは今作ができるまでの苦労を語る。
「変則短篇集は2年前に一度やっているんですが、正直少し甘く見てました。一つ一つの話は短いし、稽古も同時進行で進められるので、割とあっという間にできてしまうんじゃないかなーと。甘かったです。長かろうが短かろうが、一つの作品を作る、ということの苦労や大変さはそこまで大差がないのです」と想定外だったという。さらに、独立したオムニバスの上演ではなく、短編の積み重ねで一つの作品になる構成だけに、「今回も、4回くらいは演目の順番を変えて通し稽古を行いました。順番や出演者のバランスが一つ違うだけで全然違う作品に見えるんです。それがすべて決まった上でつなぎの部分や転換を作っていくので、最後の方は目が回るような忙しさでした。でも、それが必要な作業である、ということも確信しました。頭の中で考えていた構成よりも確実に面白くなりましたから」と苦労と同時に手ごたえも感じたようだ。
キャストも元TEAM 発砲B・ZINの武藤晃子、舞台、映像と幅広く活躍している川田希、InnocentSphereの狩野和馬、ホチキスの小玉久仁子ら個性派役者陣が一人でさまざまな役を演じきるのもこの舞台の魅力の一つ。短編作品を見ながら、いつしか壮大なストーリーに引き込まれていく不思議な舞台だ。