WEB連載【GEAR'S VOICE Vol.05】 ノンバーバルパフォーマンス「ギア-GEAR-」舞台美術の柴田隆弘@京都立ち呑みスタイル ぴん

関西ウォーカー

京都でロングラン公演を行うノンバーバルパフォーマンス「ギア-GEAR-」の連載コラム第5回目(毎週木曜日更新)。今回も制作スタッフの大名(だいみょう)が、「ギア」舞台美術の柴田隆弘さんにインタビューしました。

「7月29日、おかげさまでギアVer.1.00公演は無事に千秋楽を終える事が出来ました。8月の充電期間を経て9月からVer.2.00として再始動するギアですが、今日はそのギアの舞台をデザイン、造作なさった舞台作家の柴田隆弘さんに、京都のオフィス街にある立ち飲み屋さんでインタビューを行いました」

名:今日は『京都立ち呑みスタイル「ぴん」さんにお邪魔しております。選ばれたきっかけは? 柴田:近くの現場に来た時は、帰りにスタッフ達と呑みに来たりしてます。気取らずに話しが出来る場所と思って『ぴん』さんにしました。

大名:舞台美術の道へはどのようにして進まれたんでしょうか? 柴田:図工とか美術は子どもの頃から好きで、高校生の時、映画にはまり、大阪芸術大学の映像学科と舞台芸術学科舞台美術コースを受けたのですが、映像は落ちて、滑り止めで受けた舞台美術だけ受かったんです。当時は芝居とか全く見たことなかったので、地元の劇団で勉強させてもらおうと思い訪ねて、そこで出逢った舞台監督や舞台美術されていた方が師匠です。初めて舞台の仕事を見学した時に舞台の階段を作ってて、階段作るんやって感動したんです。普段作ったりしないでしょ。階段だけではないですが、いろんな美術があるなかで大きな装置をつくる事が出来る。そんな舞台美術のスケール感に魅力を感じるようになった。

大名:その後はどんな活動をなさってこられましたか? 柴田:先輩の仕事を手伝ったり、舞台の仕事も続けながら、学生時代から劇団の旗揚げにも参加するようになった。当時はまだまだ数が少なかったけどいろんな公演を経ていろんな方々とつながり卒業後も舞台美術を続けてきて何とか食べれるようになってきた。しかしなかなかプランだけでは食べていけない。僕は考えて絵書くこと作ること、劇場で立て込む事全部自分でしたいのでなんとかなってきた。ふつういろんな美術の作家さんならあたり前だと思うのですが、舞台芸術の舞台美術は分業になってしまうことが多いが、僕はわがまま言って自分の好きなようにやっています。「舞台美術家」と言うより、「舞台美術作家」な感じでしょうか?。

大名:今後の展開はどのようになさるんですか?

柴田:僕はいままで一杯飾り※の仕事を沢山してきたんですが、今はミュージカルや多幕物の舞台をやりたいです。単純に舞台美術でお客さんを楽しませたいです。海外の現場や作品にも興味があるし、新しいことに挑戦してきたいです。

大名:後進の育成にも力を入れておられますね。

柴田:最近は小劇場でも舞台美術を作る人たちが減ってると思うし、出演者、スタッフ含め、美術に触れる機会が減ってるのは残念です。お金、場所、時間いろんな大変な部所なんですが…。僕が初め教えて貰った頃は、丁寧に説明してくれる方とかいなくて、先輩の仕事を見て、技術を盗むのが普通だったし、怒鳴られていろんな覚えた。だけど、いまの学生たちに怒鳴ったりしたら泣いたり、帰れって言ったら本当に帰ってしまう子もいて、当初は戸惑いましたが、それでもやっぱり若い子たちと接する事はすごく楽しくて、彼らの興味を引くものを見せてあげれば、目の色が変わる瞬間があって、そんな時はすごくやりがいを感じてる。

大名:柴田さんは言葉ではなく、物で会話されるような感覚がありますね。 最後に、ギアを通じての柴田さんの目標をお聞かせください。

柴田:ギアの設定をプロデューサーから聞いたときに直感的にこういう舞台美術がいいんだろうな、と感じた。 廃工場の雰囲気で造っていって、でもリアリティーを舞台美術では追求していない。ギアはPOPな面があるし、ある意味マンガの様な抽象的な部分がある。嘘つきなセットなんですがうまいことパフォーマンスとの調和は目指してます。そして、ギアの特徴はなんといってもロングランである事。初演から3年が経過して、今なお舞台美術を調整し続けられる。普段の現場では長くても1ヶ月間くらいしかないが、ギアでは長い時間の中で、改善をし続けられるし、これからもよりクォリティーの高い舞台美術に出来るよう挑戦していきたい。

※一杯飾りとは、一つの舞台に対して、1シーン分の舞台セットを設えることの意。

次回はマイム俳優のいいむろなおきさんにインタビュー予定です。どうぞお楽しみに!

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