「闇金ウシジマくん」が劇場版で登場! 山田孝之×林遣都が語る“ウシジマくん”の魅力とは!?

関西ウォーカー

冷酷非情な闇金・ウシジマに追いつめられる欲望に溺れていく人々の姿を描き、人気を集めた深夜ドラマ「闇金ウシジマくん」が劇場版で登場。ドラマに続きウシジマを演じる山田孝之と、一攫千金を夢見る若者・純に扮した林遣都。所属事務所の先輩・後輩でもある2人が語る“ウシジマくん”の魅力とは!?

──今回、深夜ドラマが映画化されることになりましたが、最初に聞いた時はどう思いましたか?

山田「実はドラマの時から映画化の案はあって、監督の山口(雅俊)さんが“映画化できたらいいな”っておっしゃっていたんです。それに対して僕も、深夜の30分間おまけにテレビドラマだといろいろと制限があり、それを映画でやるのは新しい試みができるんじゃないかと思ったので“いいですね”ということはお話していて。しばらくして映画化の話が決まり、そこで原作の見開きページを監督が持ってきて“こういう画を撮りたい。だから映画にしたい”とおっしゃって。それがかなりの引きの画だったんですが“こういうものを撮るならテレビじゃなく映画の大きなスクリーンじゃないとできないから、映画化を実現させたい”ということで、僕も“いいと思います”とお返事をしたんです。テレビだと30分間しかないので物語を急がなきゃいけないところもあったんですが、2時間しっかりとやって、長い間など映画ならではのことができてよかったんじゃないかなと思いますね」

──今回、林さんは「闇金ウシジマくん」の現場に初参加となりますが、山田さんとの共演はいかがでしたか?

林「すでにドラマ『荒川アンダー ザ ブリッジ』で共演させていただいていたんですが、その時に山田さんが演じたキャラクターはウシジマとかけ離れていて。いざウシジマになった山田さんとお会いした時はシルエットや雰囲気から全然違ったので、山田さんと今回の現場でどうやって近づこうかなと思いました。でも、何度もゴハンに連れて行っていただいたりしましたし、僕が演じる役もハードだったのでいろいろと頼りにさせていただいていました」

山田「僕はドラマでいちおう『ウシジマくん』の現場を経験しているので、その上でアドバイスをしました。山口監督は本当に演出が細かいから、とにかく頑張れと」

──林さんは純という役柄についてどう思われましたか?

林「原作があったので、ルックスもそれに近づけていければと思ったんですが、衣装合わせの時に山口監督が“原作のことは忘れて、一から作っていこう”とおっしゃって、現場で監督と発見をしながら作っていった感じですね。スケジュールも純のやっていることもすごくハードだったので、役作りというよりは毎日を純のように必死に、なにかに焦りながら撮影をしていたような気がします」

──山田さん演じるウシジマは“笑わない男”ですが、それを演じる時はどんな気分ですか?

山田「笑わないことに対して違和感はないですが、ウシジマを演じるにあたって“機械的”であることは意識していています。ただウシジマという物体から音が出ているような感じにしたかったんです。セリフにしても台本を読んだ時にいつもなら“どうしてこの人はこんなことを言うのだろう”とかセリフに感情を乗せるために考えるんですが、ウシジマをやる時だけはそういうことをいっさい考えていないです。そういったアプローチや、それを求めないというのは今までの自分にはなかったですね。ウシジマを演じる時に“人間らしさ”は邪魔なものでしかないんです」

──林さんもこれまでのさわやかなイメージを覆すダークかつハードな役ですね。

林「どんどんダメになっていく感じは、演じていて楽しかったですよ。純は人の目を気にしていて、とにかくビッグになりたいと思っているキャラクター。先を考えず将来から逃げてしまっている若者に比べると、純の方がカッコいいし頑張っていると思います」

──山口監督はドラマから続き、今回もメガホンをとられていますが、ドラマと映画では演出方法が変わっていたりしましたか? 

山田「ドラマの時はお互いに手探りなところもあったので、顔の角度から目線の高さまで細かく演出が入りましたが、ドラマを終えた時点で完成されたキャラクターもあって信頼関係もあるので、今回は特になにもなかったですね。なので、僕はその感覚を呼び戻すような感じでやっていました」

林「僕が演じる純はいろんな感情がうずまいているので“こうなってくれ、こう感じてくれ”と山口監督は的確に演出してくださいましたね。特に印象に残っているのは、クライマックスの樹海でのシーンですね。一晩をかけての撮影だったんですが“今日はずっと撮影が終わるまで泣いていてくれ”とすごくわかりやすく言われたことがあったんですが(笑)、僕も“今日はそれに集中していればいいんだな”って思って。演じ終えたあとはすごく達成感がありましたね」

──ウシジマというキャラを通じてお金の恐ろしさや人生の真実も描かれた作品です。ウシジマはいわゆる、アンチヒーローなのですが演じる上で参考にしたものは?

山田「特に参考にしたものはなかったですね。ウシジマを“ダークヒーロー”だとおっしゃる方もいますが、僕は全然思っていないんです。不合理な利息でお金を貸したり、暴力をふるったりして、ただの犯罪者だと思っているので。でも、そういう人間なのにサラッと言うひとことが人間として大切なことだったりするので、ダークヒーローに見られているのかも。武力行使をしてでもやることはやるウシジマを支持する人は、その姿を見てスッキリしているのかもしれませんね」

──この作品でお2人とも、俳優として新たな魅力を切り開いたように思えます。演技の醍醐味はずばり何でしょうか?

林「自分の知らない世界に飛び込んでいくという、演技に対するスタンスは昔から変わっていないですね。知らないことに触れるのはいい経験になると思っています」

山田「出演のオファーをいただいて、物語を読んで役を作り上げて、現場に行って芝居をして、出来上がったものを観て、さらにお客さんに観ていただくという一連のこの流れが楽しいんです。ただ、その一連の流れすべてにストレスは伴うんですが、それがストレスの解消にもなる。結果、やめられなくなってしまう。演技のストレスが演じることでしか解決できない。こんなにおもしろい仕事はないですね」

【取材・文=リワークス】

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