トヨタ自動車株式会社が新型ハイブリッド車「アクア」の発売に際し、2012年3月より行っている新プロモーション「AQUA SOCIAL FES!!(アクア ソーシャル フェス)」が好評を博している。同フェスは、水をテーマに、自然環境を守るための地域・ボランティア活動を行うというもの。これまでの、来店→試乗→販売という流れにあるプロモーション型とは全く異なり、誰もが気軽に参加できるのだ。
同フェスは、フェイスブックなど口コミで広がり、参加者も8月末時点で8千人を超えているという。「みんなで守るウミホタルの里海」「みんなの鶴見川流域再生プロジェクト」「佐賀城公園お濠のハス再生運動」など、地域ごとに企画が組まれ、全国50か所を回る。
このプロジェクトが生まれたきっかけは何だったのだろう?「アクアは世界一の低燃費(※)を実現している商品で、開発時も少しでも多くの方にハイブリッドカーを知っていただき、未来を良くしたいという思いで“10年先を見据えて”開発した商品です。ならば、そのマーケティングも10年先を見据えて、その時に少しでも未来が良くなることに役立つようなことができればという思いから“アクアソーシャルフェス”が生まれました」と、企画運営を担当するトヨタマーケティングジャパンのマーケティングディレクター、折戸弘一氏は語る。
あまりクルマに関心が高くない層へアプローチするに当たり、商品情報を一方的・短期的に発信するのではなく、生活者が共感できる体験を共有する中でブランド共感に繋げていく。「社会」「個人」「企業」がWIN-WINで結ばれる“共成長マーケティング”という考え方に基づき、中長期的なブランディングを目指しているそうだ。
肝心の参加者たちの声だが、「環境保護には興味があったが、何をすれば良いかが分からなかった。今回、アクア(トヨタ)がやっているのを知って参加してみたが、とても楽しかった」「地元のために自分が役に立てたのが嬉しい」など、参加者の8割以上が達成感を感じている驚異的な結果が出ており、まさに“共成長マーケティング”の成功例と言えるだろう。
前例のないプロジェクトだけに、苦労も多かったのでは?「社内各所での理解推進も大変だったのですが、実際に全国各地の地域環境保護・保全プログラムの開発がとても大変でした。これも地元の新聞社・NPO団体と一緒になって取り組んだことで、地域が抱える課題設定ができ、各プログラムの実施・運営面でも非常に助かっています」と折戸氏。自身も、全国各地のフェスに参加し、応募数の多さ、30代以下の若年層参加者が多い点、アクアソーシャルフェスによるアクアブランドへの貢献(インターネット調査)、フェイスブックなどのソーシャルメディアとの相性の良さなど、大きな手応えを感じているようだ。
「社会貢献って、何かお堅いものというイメージがあるかもしれませんが、アクアソーシャルフェスはみんなで楽しくやる活動なので、気軽にご参加いただければと思います」と折戸氏は促す。
今年は大半のプログラムが終了しているが、オフィシャルサイトでは、募集中のプログラムの案内はもちろんのこと、活動レポートや映像などを随時更新しているので、興味を持った方はお住まいのエリアを是非ともチェックしていただきたい。【東京ウォーカー】
※35.4km/l(JC08モード)、40.0km/l(10・15モード)2012年6月現在。ガソリン車(除くプラグインハイブリッド車)。トヨタ自動車㈱調べ。