年間1000本以上の映画が公開される映画大国インド。そのインド映画が一週間にわたり、約20本も楽しめる映画祭「インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン」が東京と大阪で開催される。
日本でインド映画というと、『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)を思い出す人が多いだろう。この作品のヒットは“インド映画=踊る”というイメージを日本人に強く印象付けたが、「それが偏ったイメージであることを知ってもらいたい」というのも本映画祭のミッションの一つ。今回上映されるのはボリウッド映画が中心だが、近年のボリウッド映画はハリウッドとの提携が進み、共同制作映画も続々誕生。インド国内のみならず、アジア、アフリカ、欧米でも広く上映され、その作品クオリティや技術力は高い評価を得ている。
今年は日印国交樹立60周年かつインド映画史100周年という節目の年ということもあり、日本でも例年より多くのインド映画が公開されているものの、これまで年に数本、映画祭などでしかインド映画を見る機会がなかった日本の映画ファンにとって、約20本もの作品が日本語字幕で見られるのは、貴重で画期的な機会だ。是非、一本でも多くの作品を見て、“踊る”以外の魅力満載のインド映画の実力を体感してほしい。
とはいえ、20本もあると何を見て良いのかわからない、という方のために、日本で唯一のボリウッド映画情報誌「ナマステ・ボリウッド」編集長にお勧めを聞いてみた。
「とにかく最新のボリウッド映画に触れたい!という人には、2012年公開の『カクテル』『テリ・メリ・カハーニ 君と僕の物語』『ビッキー・ドナー ドナーはビッキー』『ラブ・リンクル・フリー 愛に年齢は関係なし』『テーズ スピード』の5本がお勧め。パンチの効いたセリフやラジカルなコメディセンスが詰まった大人の鑑賞にたえる演出が見物です。インドのNo.1人気俳優シャー・ルク・カーンが見たいなら、文芸大作『デーブダース』(02)と娯楽の王道『メ・フー・ナ 俺がここにいるから』(04)。特に『デーブダース』はインド人なら誰でも知っている不朽の名作で、民族衣装をまとった壮麗な古典系ダンスシーンは必見でしょう。音楽ファンなら『スラムドッグ$ミリオネア』(08)で第81回アカデミー音楽賞を受賞したA.R.ラフマーンを起用した『ロックスター』(11)、『ユブラージ』(08)、優美なベンガル語映画『ノウカ・ドゥビィ 船の転覆』(11)というセレクトもあり。インド映画の中でも海外進出を果たしたボリウッド映画は世界各国で海外ロケを行い、洗練されたモダンなテイストが魅力。今回の上映で知られざるインド映画の実像を堪能してほしいですね。また、国境を越えてボリウッドと親密的に結びつく話題のパキスタン映画『ボール 声をあげて』(11)の重厚な語り口にも注目です」
ほとんどの作品が一回のみの上映なので、見逃さないようスケジュールをチェックして!【東京ウォーカー】