【本日より開催】スペイン美術黄金時代の巨匠 エル・グレコの傑作が奇跡の来日!大阪中之島・国立国際美術館「エル・グレコ展」をレポート

関西ウォーカー

スペイン美術黄金時代の巨匠 エル・グレコの大回顧展「エル・グレコ展」が本日10/16(火)から大阪・中之島の国立国際美術館で開催される。開幕を前に開かれた記者内覧会&開会式のようすを関西ウォーカー編集部の座親がレポート!

没後400年を前に開催されるこの展覧会は、プラド美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館など、世界中の名だたる美術館やトレドの教会群から、スペイン美術黄金時代の巨匠 エル・グレコの油彩ばかり50点以上を集めた国内史上最大の大回顧展。

開催に先がけて行われた記者発表会での、エル・グレコ研究の世界的権威で本展監修者でもあるフェルナンド・マリーアス氏による解説も非常に熱を帯びており、世界中からエル・グレコの代表作が集められた今回の展覧会がいかに奇跡的なものであるかをひしひしと感じさせる。

16世紀から17世紀にかけて活躍し、ベラスケス、ゴヤとともにスペイン三大画家と呼ばれるエル・グレコ。「エル・グレコ」というのは実は彼の本名ではなく「ギリシャ人」という意味の愛称。彼はギリシャのクレタ島に生まれ、ベネチア、ローマでの修行を経てスペインの古都トレドにたどり着き、没するまで数々の傑作を生み出した。彼はイタリア、スペインで活躍するようになってからも絵画にギリシャ文字でサインをし続けたという。トレドをこよなく愛し第二の故郷としながらも、あくまで「ギリシャ人」としての自分にこだわりを持っていたと言えそうだ。

今回の展覧会は「肖像画家エル・グレコ」、「クレタからイタリア、そしてスペインへ」、「トレドでの宗教画:説話と祈り」、「画家にして建築家:近代的芸術家の祭壇画制作」の4部構成。それぞれの展示空間は赤や青などの印象的な色遣いで分けられている。彼が残した印象的な言葉が壁面に書かれていたり、関連地図や年表が掲示されているなど、画家としてだけではなく「人間エル・グレコ」にも触れることができる展示となっている。高い評価を得た宗教画の代表作のほか、初期のイタリアでの修業時代の作品や、流行画家として多くの注文に応えていた時代の作品も展示され、エル・グレコの全容に触れることができる。

そして、何と言っても今回の展示の目玉は高さ3メートルを超える大作にしてエル・グレコの最高傑作の一つと言われる「無原罪のお宿り」。日本初公開である本作は、聖母マリアの曲がりくねった体の曲線美や印象的な角度で描かれた天使の翼といった大胆な構図で、まるで絵全体が動いているかのような印象を見上げる者に与える作品だ。また、エル・グレコが自らを描いたとされる「芸術家の自画像」も必見。

開会式には女優でエル・グレコ展のサポーターでもある森口瑤子さんも登場。NHKでスペイン語講座の番組のナビゲーターも務めていたという森口さんは、流暢なスペイン語での挨拶を披露し、会場を沸かせた。

日本初公開の作品も多く、エル・グレコ展の決定版ともいえる本展。これほど多くのエル・グレコ作品が一堂に会する機会はたいへんめずらしく、まさに奇跡的な回顧展と言えそう。この機会をお見逃しなく!

【取材・文=関西ウォーカー 座親万梨枝】

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