【WEB連載】酒女倶楽部の日本酒レポート 11本目「純米大吟醸 雄町米」(兵庫県・山名酒造)

関西ウォーカー

わたしが山名酒造http://www.okutamba.co.jp/のお酒と出会ったのは、去年の冬こと。ちょうど丹波に取材にいったとき、なにげないお土産物屋さんの店頭に、で〜んと置いてある存在感のあるお酒がありました。「こ、これは!」。すぐに分かりました。和紙のような包み紙に覆われ、瓶の首には、「奥丹波」と刻印してある板きれがかかっている。まさしく、わたしが新年のお酒として飲もうと思っていた「奥丹波」の新酒だったのです(年末だけしかない限定酒!)。

だがしかし。わたしが買おうと思ったとき、そのお酒はすでに売り切れていたのです。そのくらい、人気のお酒なのです。「ひ〜ん…」。悲しみにくれていたとき、あろうことか、酒屋さんではなく、お土産物屋さんの店先に、日光をさんさんと浴びながら置いてあるではありませんかっ!「連れて帰らねば!!」。すぐさま瓶をつかみ、レジに行って、お店のおばちゃんに「これ、冷蔵保存していないんですか?暗所に保存しないんですか?」と問いただしました。日本酒に日光は禁物です。日が当たるとお酒が変質しちゃうからなのです。なのに、あんな店先に〜〜〜という思いが口をついて出てきてしまったのです。

無事、お酒をゲットしてお店を出るとき、取材に同行していたディレクターがこう言いました。「高野さんのあんな鋭い突っ込み、取材でも見たことありません…」。すみません。お酒のことになるとつい、我を忘れるのです。

…という思い出がある山名酒造のお酒。つい先日も丹波に取材に行ったとき、同じディレクターがちょっとした暇をみつけて「高野さん、蔵、行ってみますか?」と声をかけてくれました(歓喜!)。そして蔵でめでたくゲットしたのが、この「純米大吟醸 雄町米」。山名酒造さんのお酒は味わいとコクがあるのに、ビギナーでもすっと飲める優しさと間口の広さがあります。この1本も、コクとうまみがありつつも、あと味すっきり。ついついパカパカ飲んでしまいます。

山名酒造さんには、青木卓夫さんという杜氏さんがいらっしゃるのですが、酒造り界ではカリスマ的な方らしく、以前から「飲んだ方がいいよ」とすすめられていた蔵さんでした。確かに、そんな方が醸すお酒だけあっておいしい。わたしが大好きなお酒のひとつです。今年のお正月こそ、「奥丹波」を早めに予約して、お正月を楽しく過ごしたいと思います。ぜったい買い逃さないぞ!

甘さ度★★★☆☆ 辛さ度★★☆☆☆ 女性度★★★★☆ 男性度★★☆☆☆

◆合う料理:具だくさんの野菜サラダ(意外と合う)、野菜の煮物、こんぶ

◆このお酒を芸能人に例えると…王道の存在感がありながらも、まわりにやさしさを残してくれる「壇れい」さん!

※甘さ辛さ度、女性男性度、合う料理は、すべて高野の独断と偏見です。

【文・写真=酒女倶楽部・高野朋美】

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