【GEAR'S VOICE Vol.22】ノンバーバルパフォーマンス「ギア-GEAR-」音響効果担当・高畠里乃インタビュー@『半分庵』

関西ウォーカー

「こんにちは、大名です。紅葉の季節が過ぎ、京都の街はクリスマスムード一色になっています。ギアの会場にも、手作りのクリスマスツリーが登場しました。みなさま、いかがお過ごしでしょうか? 今回は『ギア-GEAR-』音響効果担当の高畠里乃さんに、木屋町の『半分庵』さんにてお話を伺いました」

大名:本日は『半分庵』さんにお邪魔しています。選ばれたきっかけは?

高畠:以前から、家族で来たり友人と来たり、よくお邪魔しているお店なんです。その日の仕入れによって出すメニューが違うので、おまかせで注文するのがオススメです。あと、マスターがすごく独特な方で、彼とのお喋りが楽しみだったりもします。マスターいわく、営業時間は「てきとう」だそうですよ(笑)。

大名:ジャズが流れる店内も、リラックスできる雰囲気で素敵ですね。まず「音響効果」とはどのようなお仕事なのでしょうか?

高畠:音響効果とは、一般的には作品に必要な効果音を準備する仕事ですね。効果音は、元々ある音の長さを変えたり、スピードを調整したりしながら、独自の音を作り出していきます。時には必要な音を録音しに出かけることなんかもあるんですよ。専門用語では、メロディのある音楽による舞台演出効果をME(ミュージック・エフェクト)、効果音を用いた舞台演出効果をSE(サウンド・エフェクト)と言ったりもします。加えて、私の場合は、本番のオペレーターも担当したりしています。

大名:音響を始めたきっかけは何だったのですか?

高畠:家族が音楽とお芝居の両方を好きだった、ということでしょうか。中学生くらいの頃からよくお芝居は観に行っていましたし、自然な流れとしてそういう方向に導かれていったような感じですね。

大名:音響というお仕事について、もう少し詳しく教えていただけますか?

高畠:音を出すのは、セリフを言う感じに近いと思うんです。最適なタイミングで、最適な音量で、最適な音質で、音を出す。これってすごく難しいことなんですよ、地味ですけど(笑)。それがうまくいくと、出演者さんも気持ちよく演技ができるし、お客様にも居心地のよさみたいなものを感じていただけるのが分かるんです。音響というのは、実は知らず知らずのうちに世界観を左右しているとても大きな要素なんです。

大名:ギアでの音響効果は、少し変わった方法を取っているとお伺いしました。

高畠:はい、ギアではマルチチャンネルを採用しています。全部で12台のスピーカーを使用しているのですが、それぞれのスピーカーが独立して異なる音を出し、それらが組み合わさることで一つの音楽や効果音をつくり出しています。一般的な小劇場の公演ではなかなか使われていない手法だと思います。爆発音一つ取ってみても、色んな場所から色んな爆発音が聞こえるので、臨場感や奥行き感が出るんです。

ギアのオープニングパフォーマンスである、工場の効果音が曲になっていくシーンと、終演後のカーテンコールは、マルチチャンネル仕様の楽曲になっているので、ご来場の際には、そのあたりの音源の違いをちょっと楽しんでもらえたら嬉しいですね。

ただ、音源がバラバラなので、音源を編集して、頭の中では「良い感じ」と思っていても、実際にスピーカーから流してみるとイメージと全然違った!ということはよくあるので、難しいんですけどね(笑)

大名:ギアでは全編オリジナルの楽曲を使用していますね。

高畠:そうなんです。それもギアの大きな特徴の一つだと思います。やはり、効果音を選んだりする時にも、元々ある(作曲家の)豊田さんが作った楽曲群のイメージに当てはまるような音源を選ぶようにしています。あとは、楽曲の雰囲気によっては、わざと前方にあるスピーカーじゃなく、舞台後方にセッティングしているスピーカーだけ鳴らしたり。

また、出演するダンサーによって使用楽曲が違ったり、効果音の入れ方なども少しずつ違ったりするので、お客様はもちろんのこと、音響スタッフもその変化を楽しんでいます。

大名:現在もロングランを継続中のギアですが、これほど長い期間同じ作品を担当することはなかなかないのでは?

高畠:そうですね。これだけ長期で一つの公演をやり続けることも、これだけ色んなパフォーマーの組み合わせがあることも、これまで無かった経験です。とことん突き詰めていけるし、お客様のご意見をもとに改訂していくことができます。ロングランであることを活かして、もっと心地いい音をお客様に感じていただけるよう頑張っていきたいと思います。

【ノンバーバルパフォーマンス『ギア-GEAR-』とは?】


ブロードウェイの『ブルーマン』や韓国の『ナンタ』などで注目を集めた「ノンバーバルパフォーマンス」とは、言葉を全く使わない新しいタイプの舞台公演。『ギア-GEAR-』は、マイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングの超絶パフォーマンスとプロジェクションマッピングなどのテクノロジーが融合した、日本発・日本初の非言語エンターテイメント。舞台は古びたおもちゃ工場。かつてその商品だった人形「ドール」が、作業を続ける人間型ロボット「ロボロイド」とふれ合い、感情を獲得し、人間に近づいていく感動の物語。2012年4月よりロングラン公演をスタートし、9月より新たにVer.2.00を上演! 大人から子どもまで、日本語がわからない外国の方でも楽しめる、70分100席限定の衝撃体験。



注目情報