江戸時代~昭和まで、都民の食生活を支えてきた伝統の野菜「江戸東京野菜」。食卓から消えかけたこれらの野菜を復活させる動きが小金井を中心に活発化している。
ずんぐりした形のニンジンや、小さなカブなど、珍しい形をした野菜の数々。これらは江戸東京野菜と呼ばれる東京の伝統野菜で、季節限定で旬があり、自家採種で種を採る固定種であること、江戸~昭和の各時代に、都民の食生活を支え、食文化を育んだ野菜であることが特徴だ。その形はスーパーなどで見る野菜とは大きく異なり、鶏卵ほどの大きさの寺島なすや、10cmほどでずんぐりした形の馬込三寸人参など個性豊か。
「東京の都市化で農家が減り、流通に適さない形のこれらの野菜は姿を消していきました」と話すのは、江戸東京野菜料理研究家の酒井さん。2005年ごろから、街おこしの一環として小金井市が活動を開始。農家が集まって勉強会を開き、地道に生産数をあげてきた。
伝統大蔵大根は11月~12月が旬。太さが均一で煮崩れしにくく、水分が少ないのが特徴。「長さ50~60cmで、ダイコンの上部と下部で太さが均一なのが特徴。水分が少なく煮くずれしないので、味をよく染み込ませるおでんや煮物に向いています。葉は煮びたしや炒め物に」(酒井さん)。
寺島なすは鶏卵ほどのサイズ。「小ぶりの寺島なすは、かつては墨田区東向島あたりで栽培されていたもの。濃い黒紫色のツヤのある肌が特徴です。香りがとても強いので、油を使った料理と相性がいいです」。
現在では、地元の農協やスーパーでも買えることがあるほか、小金井市内のレストランやカフェでも江戸東京野菜を使った料理が親しまれている。「旬があるので、普通の野菜よりも味が濃く、アクが強い。いい意味で個性的なんです」と語る酒井さん。魅力的な江戸東京野菜を食べて、元気になろう!【東京ウォーカー】