3月3日はひなまつり。ひな人形を飾り、女の子の成長を祈る行事だ。ひなまつりに欠かせないお菓子と言えば、“ひなあられ”だが、このひなあられ、雑煮などと同様に地域によって味が違うという。
関東出身の記者にとってなじみ深いのは、色とりどりでサクッと溶ける優しい甘さのひなあられ。東京・深川に店を構える「みなとや」のひなあられも“甘い”ひなあられだ。
「約50年前の創業当時から作られているひなあられは、駄菓子のポン菓子のような米菓子に、砂糖をつけています。もち米で手作りしているんですよ」。
一方、東海地区ではなんとマヨネーズ味のひなあられが定番とか。岐阜県の老舗「日東あられ」では「35年ほど前からマヨネーズ味のあられをメインにしています」とのこと。マヨネーズ味が半分、残り半分がサラダ味としょうゆ味という“しょっぱい”ひなあられだ。マヨネーズ味は、独特の風味に砂糖の甘味が加わった癖になる味だそう。
京都のあられは“しょっぱい”と“甘い”が同居する雅なもの。「俵屋吉富」では、塩・しょうゆ・青ノリ・エビなどのあられに、ピンクや緑の甘いあられが入っている。「華やかな色味のあられです」と話す通り、女の子が喜びそう。
おもしろいのは大阪だ。100年以上続く老舗、大阪の「とよすあられ」では「厄除けを意味する5色のあられとチョコの6種類が入っています」との回答が。5色は京都と似た、やはり“しょっぱい”あられだが、記者が珍しいと感じたのは“チョコあられ”の存在。
「素焼きのあられにチョコレートをコーティングしています。“お楽しみ”として食べていただくために、量は通常のあられに比べてちょっぴり。“チョコの数が少ない”とクレームをいただいたこともございます」というように、子供にとって数少ないチョコあられは“貴重なもの”だったよう。取材した中でも「チョコあられは我さきに奪っていましたね」と力を込める関西出身の元・少年の証言もあった。
調べてみた結果、甘いあられは東京のみで、他の地域はしょっぱいあられが多いことが判明。「ひなまつりは地域性の強いお祭。例えば山陰地方では4月にひなまつりをする所もあるそうです。それぞれの伝統を生かして続いているんですよ」(「とよすあられ」関係者)と言うように、地方によって独自の文化を築いているのだ。
昔なつかしいひなあられを食べるもよし、珍しいあられに挑戦するもよし。楽しく伝統の祭りを祝いたいものです。【東京ウォーカー/白石知沙】