正月の風習!江戸で流行ったブーム“七福神巡り”がいま静かに再燃

東京ウォーカー

ここ数年、正月の風習のひとつとして、江戸で流行ったブーム“七福神巡り”がジワジワと人気を集めている。七福神を祀る寺社を巡り、すべて回ると7つの福が授かり、7つの難を逃れるというものだが、映画『麒麟の翼』のロケ地にもなった日本橋七福神巡りをはじめ、天気の良い日には、個性豊かな神様たち“七福神グッズ”を集めながら徳を求めて街歩きするのもオススメだ。

この七福神巡りだが、もともと江戸が生んだ流行とか。民俗学者で江戸文化に詳しい神崎宣武さんによると「江戸の町には、地方出身者が多く集まっていました。言葉遣いも違えば、しきたりも違う人々が混在していたのです。そんななかで“火事と喧嘩は江戸の華”といわれるほど火事が多く、一晩で家や財産がなくなることなんてしょっちゅう。人々の火事への恐れは切実で、人心を鎮めるためには、まったく新しい信仰をつくる必要性があったのです」と話す。

七福神信仰が行事化したのは?「七福神そのものは室町時代に始まり、7つの社寺を回る様式になったのは江戸時代中ごろです。インドや中国の外来の神様を混載して組ませることにより、誰もが受け入れやすいスタイルを作り、信仰のファッションとして大流行したのです」。観光と祈願を兼ね、出かけた途中で団子を食べたり、おみやげを買ったり、ついでに芝居見物など、七福神巡りを楽しんでいたとか。

人気のコースは、人形町から水天宮前、浜町の7神を回る「日本橋七福神巡り」。小網神社(福禄寿)→茶ノ木神社(布袋尊)→水天宮(弁財天)→松島神社(大黒天)→末廣神社(毘沙門天)→笠間稲荷神社(壽老神)→椙森神社(恵比寿)という、全行程120分ほどの街中の歩きやすいコースが人気で、映画『麒麟の翼』のロケ地にもなった。宝船と七福神人形7体は1セットで、 全部求めるのがルール。途中には江戸情緒あふれる甘酒横丁の立ち寄りも楽しめる。

また、都心の歴史ある街や由緒ある坂を回る「港七福神巡り」もオススメ。十番稲荷神社(宝船)→大法寺(大黒天)→氷川神社(毘沙門天)→櫻田神社(壽老神)→天祖神社(福禄寿)→久國神社(布袋尊)→熊野神社(恵比寿)→宝珠院(弁財天)というコースだが、長さ約3cmの福まゆ守がとてもキュートで、大都会と住宅街など変化に富んだ風景も魅力的だ。

門前仲町から森下に至る下町散策コースなら「深川七福神巡り」。富岡八幡宮(恵比須神)→冬木弁天堂(弁財天)→心行寺(福禄寿)→円珠院(大黒天)→龍光院(毘沙門天)→深川稲荷神社(布袋尊)→深川神明宮(寿老神)のコースで、提灯付きの福笹に、各寺社でご神像の土鈴を求めて掛けていくと、最後は隅田川の眺望が待っている。

この正月は、不老長寿、商売繁盛、五穀豊穣、家内安全など、所願成就のご利益があるとされる七福神を参拝し、歩くスピードで、ひと味違った“江戸っ子が楽しんだ風景”を楽しんでみては?【詳細は2012年12月11日発売号の東京ウォーカーに掲載】

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