劇団猫のホテルがまた新たな挑戦を見せてくれる。2月22日(金)から始まる最新作「あの女」は、何と旗揚げメンバー・中村まこと、森田ガンツ、市川しんぺーでの3人芝居。養護老人施設から逃走した男、炭焼き小屋に暮らす男、弁護士だった男が、女と老いに対する男たちのプライドをかけたバトルを繰り広げる、というストーリー。
今回の舞台について、座長・千葉雅子は「最初はみんなから反対されたこの企画。演出をノゾエ征爾さんにということで、みんながそれならばと動き出し、少し嫉妬を覚えたあの頃も遠い。今は、それぞれが切磋琢磨しながら、それぞれ助け合い、ノゾエ征爾さんのエレガントな演出で変身していく3人が頼もしいです。『森田くん、落ち着いて。市川くん、ふざけた気持ちも大事かと。中村くん、ノゾエさんの言葉をよおく噛みしめて』、そうエールを送りたいですね」と語る。今回、本は千葉が書いているが、演出は劇団「はえぎわ」の主宰・ノゾエ征爾が手掛けている。
「なにせ、(劇団員3人は)30年の付き合いですから。関係性が熟成されています。ふとした瞬間の空気に味わい深いものがあります。若い方々の友情ものも良いかもしれませんが、熟年3人組が、自分の人生を背負ってジタバタする様は哀しいし、滑稽です。そんな様子をノゾエさんの演出で、詩情豊かに織り上げました。見たことのない“猫のホテル”。権力側の市川くんと被害者の中村くんのシーンも、今までならば渋みで押すところですが、やけに愛らしい。インテリ側の森田くんもまた愛らしいキャラクターに仕上がっています」と経験値も積み上げた3人が、“愛らしさ”までも武器にしていることを明かす。がっつりの3人芝居、本を書きながら千葉自身も出たくはなかったのだろうか?
「この芝居に関しては、3人の世界で完結!私の入り込む余地なしと思っていましたが、ノゾエさんの演出する世界には入り込みたかった!」と惜しむ気持ちもあるよう。一方、面識はあるものの演出家として猫のホテルと向き合うノゾエの心境はいかに?
「3人が結構けんかするんじゃないかと、周囲から危惧されていたのですが、世間話とか普通にしてるし、全然仲良しだったのが、一番面白かったというか、とても愛らしかったです。これまでの猫のホテルさんの作品の印象と随分違い、20年以上やってこられてまだまだ進化している、しようとしていることに感激しました。やっていく中で、3人への愛情もすごく感じました」とすっかりなじんでいるようだ。さらに「おじさん3人は、昔役者でご一緒した時に、僕が全然駄目だったので、信頼してもらえるのかとか心配しましたが、恐れ多いくらいにとても素直で、本当に可愛いおじさまたちです。そしてやはり芝居になると本当真面目。本当に芝居が好きなのだなあと感服しました。色々と忘れがちなこともあるんですが、それは歳のせいとして(笑)」と言葉を続ける。
2011年は女性二人芝居、2012年は時代劇世界を題材にした作品と様々な挑戦を仕掛ける“猫ホテ”2013年のスタートは3人芝居。千葉はこう締めくくった。「過去、福原充則さんを迎えて『イメチェン』を上演した時も素敵な化学反応が起こりました。そして今回、ノゾエ征爾さんを迎えて、全く新しい化学反応が起きています。素晴らしいクリエイターとの出会いが劇団にとって本当に大きな宝物となりました。お客様に、どうかお楽しみいただけるように、後は我々が精進するのみです。心よりチャレンジ精神あふれる『あの女』をお届けしたい!!劇場にてお待ちしております!!」【東京ウォーカー】