【その2】7thアルバム「YETI vs CROMAGNON」を発売し、怒涛の全国ツアー中! ヒロト&マーシーに直撃!

関西ウォーカー

【1の続き】

―「大人のロックなんてクソ食らえ」という気持ちもあるんですよね?

甲本「その時の中学1年の自分をがっかりさせたくないんだよ。だから、大人になったらわかるよという音楽をやっても仕方ないんだよ」

―マーシーさんは、その辺りいかがですか?

真島「僕は特に何もないかな。そん時、そん時でやっているだけだから」

―考える事も決して悪い事ではないと思うんですが、ロックンロールっていうのは感じるものという事を、ふたりとお話していると思うんですね。ヒロトさん自身もファーストの時にお話させてもらった時に、最初は音楽雑誌を読んでいて、投稿まで考えた事もある少年時だったと教えてくださったのが凄く印象的でして。

甲本「うんうん、それこそ中学1、2年の頃な。ロックひとつ取り上げて、こんな風に色んな語ったり考えたりする人たちがいるんだっていうのが、まずおもしろかった。それは、それでおもしろい事なんだよ。そういう楽しみ方もある。ただ、ある時から、それはそういう楽しみもあるだけで、その通りじゃないといけないと言われると違うなと思ったんだよ。語れなきゃダメだとかだと、窮屈になっちゃうじゃない。そうすると、健康にはいいけど、美味しくない薬みたいな食べ物が出てきちゃうのと一緒なんだよ。ひとくち食って、美味けりゃいいじゃん」

真島「僕は、そういう音楽雑誌を何て野暮で下らないもんなんだろうって最初から思ってたよ。ロックンロールと何も関係ねぇやって。ウチの兄貴がたまに読んでいたけど、『くだらねぇもん読んでるな!』って思ってたよ。屁理屈とか小理屈とかが周りに付いてくると、そのジャンルはつまんなくなる。ジャズとかも語り始めると楽しくないし、つまんない。ただ単純に『わぁ~!!』と喜んでいると、『そんなのは、女や子供の聴くもんだぜ!』なんか言われるけど、そうなるとつまんなくなっちゃう」

―そうですよね。でも新作が出ると、今日もそうですけど、色々な媒体からインタビューを受けないといけないじゃないですか(笑)。

甲本・真島「アハハハ!」

甲本「そうだね~! 普段、何も考えてないのにね(笑)」

―例えば、「4曲目の歌詞で、こういう箇所がありますが、そこから、こういう事を彷彿とさせられたんです」という聞き方もありますよね。僕は、それが全て間違えているとは思いませんが、おふたりには、その聞き方は違うのかなと思うんです。

甲本「それはさ、聴く人の自由なんですよ。聴いた人が深読みするのが好きなら、それでいいし、自由ですよ。ただ、それを僕らに言われてもね」

―前回のインタビューの時にもお話したんですけど、おふたりの音楽は昔から小難しい事を考える方向にいかないんですよ。だから、実際こうやって会っても、「楽しかったです」とか、前回もお話しましたけど「エアギターの大会に出た時に、ロックンロールを体感したような気がしたんです!」とか、そんな話になっちゃうんですよね。

甲本「エアギターいいね! 音楽評論家の人も、エアギターをやったらいいのに! 実はやってると思うんだよ!?絶対、10代の頃にツェッペリンを聴きながらさ(笑)」

真島「エアギターと”アイアムアごっこ”をね!」

甲本「”アイアムアごっこ”というのは、アナーキー・イン・ザ・UKをかけて、『アイアムア!』って口パクで言うやつね(笑)」

真島「そして、部屋の中で暴れる(笑)」

―ロック好きな人は、絶対にそういう遊びをやっていますよね、必ず。

甲本「うん。1曲の中でドラム叩いたり、ベース弾いたり、歌を歌ったり、ギター弾いたり、色んな事するもんな」

真島「ほうきギターとかもやったもん、学校で。それも3人でほうきを持ったしてさ」

甲本「スーパースリーだ! でも、本質は、そっちにあるような気がする。僕らがやってる事は、そっちに近い気がする。何が本質かはわからないけど、そこにあるような気がする」

―何となくわかる気がします。僕、正月におふたりに久しぶりにインタビューするというので、昔のインタビューが載った分厚い雑誌を寝転びながら、参考に読んでいたんですよ。で、起き上がった瞬間、ぎっくり腰になったんです(笑)。そん時に、ロックンロールは考えてはいけないんだなって、改めて思いました(笑)。

甲本「アハハハ。気を付けろよ! 健康第一(笑)」

真島「Don’t think、Feel!」

甲本「ブルース・リーだ!」

【取材・文=鈴木淳史】

注目情報