2006年夏メジャーと事務所から離れ、自主レーベル「CHAMP RECORDS」設立。マネージメントも自ら手がける。翌年発表の自主初ミニアルバムでは向井秀徳(ex.NUMBER GIRL、現ZAZEN BOYS)をエンジニアとして迎えて、ぶっといグルーヴを産み出した。今や、年間80本以上のライブで全国各地を隈なく回り、屈強なるライブバンドに。フェスやイベントにも登場すると初見の観客をも一瞬で巻き込み、爆発へといざなう。
逆にアルバムでは、ダビングを繰り返す緻密なスタジオワークで衝動的なライブとは又違う雰囲気を醸し出していた。特に前作「MIRACLES」('11年10月発表)は、歌を基調にしたメロウでポップなソウルフルアルバム。
が、今作「かんぺきな未完成品」は凄みあるライブの衝動がストレートに反映されたシンプルなロックンロールアルバムへと進化を遂げた。ゆらゆら帝国のエンジニアとしてもお馴染みの中村宗一郎氏とのタッグも6年目に入り、一番良い形で一発録りを敢行。絶賛しかできない状態のSCOOBIE DOのマツキタイジロウとコヤマシュウに、じっくりと話を聞いてきた。
―まず2006年夏に自主レーベル「CHAMP RECORDS」を立ち上げ、翌年にミニアルバムを発表されましたよね。その翌年の2008年からは毎年フルアルバムを発表さています。去年は怒髪天とのスプリットシングル以外のリリースがなく、今回は前作『MIRACLES』('11年10月発表)から1年丸々置いてとなりました。その辺りから、おふたりにお伺いしたいです。
マツキ「あんまり戦略的なことじゃなくてね。今回は、前回から1年半弱くらい空いたのかな。今までは1年2ヶ月くらいの間隔だったんだけど、前回の『MIRACLES』は一昨年10月で、その間隔だと年末年始といういまいちの時期になるのね。それと『MIRACLES』がわりと自分の中では、とてもいいとこに落としてしまったアルバムで、満足していた自分もあって。次のアルバムを作るにあたって、1年2ヶ月という期間だと足りないかなって不安にもなってね。『もう少し空けていい?』とメンバーに話して。じゃあ、『2013年の春くらいにしようか』ってなった感じかな」
―『MIRACLES』というアルバムは、心から満足できる作品だったんですね。
マツキ「いや~、満足っていうか…、あれより完成度が高くても自分の好みじゃないし、あれよりラフになり過ぎても聴くものとしてつまらないなって。自分の一番好きなとこに落としちゃったから。次作るとしたら、『MIRACLES』の続編みたいな完成されたポップスを目指してやっていかないといけないとも思って。もちろん良い曲を作るというのは大前提だったんだけどね。『MIRACLES』は僕ら以外の鍵盤とかは僕が練習してダビングしていて、そこが凄く良かったと思ったの。でも、次はプロの人を呼んできてネクストレベルを目指さないといけないのかなって考えた時にテンションが上がらなくて。そん時に『MIRACLES』の続編みたいな構成は無しにしようと。そういう感じで、去年の夏に悩んでいる時に、青森で『レア音源視聴会』というのをやったの。僕らは1995年に結成してるんだけど、1997年まであたりのライブ音源や会場で配っていたデモテープを、その『レア音源視聴会』で流すために家で選曲していたのね。凄くサブい感じだろうなと思ったら、意外と良くてかっこいいじゃんと思って(笑)。やっている事も、そんなに変わってないしね。お客さんにもメンバーにもウケが良かったし、この何も考えないでハツラツと演奏している感じを今、やってもいい感じだなって思えて。そういう事もあって、全体的にロックンロールな感じにはなっていますね」
※【その2】に続く
【取材・文=鈴木淳史】