【その4】ニューアルバムを引っ提げ6/15(土)ほかライブ!SCOOBIE DOに直撃した!

関西ウォーカー

【その3】の続き

―あの、昔に聞いた話になるんですけど2006年まで所属していた事務所の先輩であった山下達郎さんに、事務所を辞めるときに声を掛けられたという話があるじゃないですか。

マツキ「あ~、うんうん。たまたまスタジオで逢った時に、当時のマネージャーがセッティングもしてくれたというのもあったんだろうけど、達郎さんが『バイトをせずに食っていけるようにがんばりなさいよ』って。『バンドで年間100本ライブをやって食っていくというのは、あまり聞いた事がないけど、何とかなるんじゃないかなって』って言ってくれたんだよ。どういう想いで言ってくれたのはわからないけど、その一言が何か心強かったんだよね。音楽を捨てちゃいけないよっていう事だったのかも知れないし…、ありがたかったですね。今でも憶えていますよ」

―その話、凄く好きなんです。改めて、ご本人から聞けてよかったです。あと、最後になるんですが、今回は歌詞が本当に良いんです。昔から歌詞は良いんですが、今回のは特にシンプルなのに、より色んな意味合いも感じられるというか…。聴いていても、音の関係もあるのか、凄く心地よくダイレクトに言葉が耳に入ってくるんです。

マツキ「今回、サウンドはシンプルなロックンロールなんだけど、言葉の部分においては『MIRACLES』から一歩進んだ表現をしたいなって思っていてさ。『MIRACLES』っていうのは…生きているだけで奇跡だよという、ひとつのワードを結論づける表現の仕方だったんだけど、あれから1年半経った今の時代は、また違うかなって。ラジオで邦楽を聴いていると、笑顔とか希望とか夢とか何かそういうワードが一杯聴こえてくる気がして。意味的には、困難を乗り越えていけるさという方法として結論付けて使われているなと。それは、個人的に違う気がして。そんなに簡単に結論とか答えは見つからないと思うし、そんなのも無いんじゃないかなって。わからない事とかも全て抱えていかないといけないんだなって思った時に、要は完成した概念っていうのはないだろうと。そんな時に『かんぺきな未完成品』という言葉が、時代の空気を感じた上で自分から出てきて。『MIRACLES』に続く言葉が『かんぺきな未完成品』というイメージかもね」

―なるほど…。ラストナンバーの「もういちどやってみよう」は、特に本当にたまらない曲なんです。平仮名で現された簡単な言葉のタイトルなのに…、何か、もう聴いたら自然に涙腺が緩むというか…。

コヤマ「中々、そこに気付いてくれる人がいないんだよね(笑)。インタビューも、これが最後くらいなんだけど、その部分を言ってもらえて良かったと思うよ。歌詞のそういう部分に着目してくれないんだよ、何でかわからないんだけど。これだけ簡単な言葉を使って、きれいなメロディーに乗っている日本語の歌は無いと思う。実は、凄いレベルなんだよ。歌っていてグッとくるしね。ビートもリズムもずっと前に進んでウキウキしてくるんだけど、メロディーと言葉もちゃんと中に入ってくるのが凄く気持ちよいんだよ。反発しあえば、しあうほど気持ち良いというか…、ビートが強くなっているのに言葉もグッときちゃうみたいな。何かさ、『やべーな』っていう感じになるんだよ。ソングライティングは、凄いレベルで完成しているって思うんだけどな。…って、身内が褒めてもしょうがねぇか!」

マツキ「“おぎやはぎ”じゃないんだから(笑)」

―あはは! いや、でも本当に凄く素晴らしすぎるアルバムなんで、多くの人に届いて欲しいです。本当にありがとうございました!

マツキ・コヤマ「ありがとう!」

【取材・文=鈴木淳史】

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