08年に発生した“秋葉原無差別殺傷事件”の犯人をモチーフに、平凡な派遣労働者の青年が社会的に追い詰められてゆく姿を描いた映画「ぼっちゃん」が公開中だ。大阪での公開初日となつた6/1には、上映劇場である十三の第七藝術劇場で舞台挨拶が実施され、大森立嗣監督、主演の水澤紳吾、出演の淵上泰史が登壇した。
舞台挨拶が実施されたこの日は満席の上、通路には立ち見の観客も。たくさんの人がつめかけた場内を見渡し、大森監督は「この作品を大阪で盛り上げてまた火をつけてください!」と呼びかけた。主人公の梶を演じた水澤紳吾は「少しでもこの映画を、皆さんの心に留めていただければ」と話し、和歌山県出身の淵上泰史は「高校生の頃の3年間、大阪で暮らしていました。俳優になって大阪で舞台挨拶をさせていただくのが自分の目標でもあったので、大森監督の作品で舞台挨拶できるのがすごく嬉しいです」と喜びを語った。
登壇者の挨拶のあとは質疑応答も実施され、場内からは“秋葉原無差別殺傷事件”と映画の関係や、主人公・梶のモチーフとなった事件の犯人について、多くの質問が投げかけられた。大森監督は「実は犯人が体験したエピソードは、ほとんど映画では描いていなくて、セリフの一部で彼の発言を引用しています。事件が発生したときは、特に映画化は考えてなかったのですが、事件の数年後、彼がネット掲示板に残した言葉を見つけて、“映画にできるかもしれない”と思いました」と語り、長時間にわたって、キャストもまじえて観客とディスカッションした。
映画「ぼっちゃん」は6/21(金)まで第七藝術劇場で公開中。
【取材・文=関西ウォーカー編集部・鈴木大志】