サンバの軽快なリズムのCMでおなじみの無糖茶ブランド「太陽のマテ茶」(日本コカ・コーラ社)が、ヒットを続けている。12年3月の発売以来、出荷ベースに500ml換算すると、販売本数は1億6千万本を突破。もう試してみた人も多いことだろう。そもそもマテ茶はブラジルをはじめ、南米で古くから愛飲されてきた国民的飲料。南米といえば、牛肉の1人あたりの年間消費量が日本の3.5倍以上(USDA「World Markets and Trade」調べ)というデータがあるほど、肉食中心で野菜類をあまり摂らない食生活が根付いている。そんな南米でマテ茶が日常的に飲まれている理由は、“飲むサラダ”と呼ばれるぐらい栄養価が高く食物繊維が豊富で、ビタミン・ミネラルも効率よく補給できるヘルシー飲料だから。しかも、さっぱり香ばしい飲み口は、肉料理とのマッチングが格別だ。近年、“肉食化”が進んでいる日本人の食生活にもピッタリだといえる。
マテ茶ブームは、日本のブラジル料理店などにも飛び火している。元サッカー日本代表・ラモス瑠偉氏がプロデュースする人気ブラジル料理店「レストランテ カリオカ」の店長・大住勇一さんは、ブームについてこう語る。「CMの影響で、昨年から女性のお客さんがマテ茶を多く注文するようになって、ことしに入ると男性客の飲む方も増えました。ウチは肉料理がメインなので、さっぱりとしたマテ茶が合うんです。食事中だけでなく、食後に口直しのために飲む方も多いですね。なかにはお酒と一緒にチェーサー代わりに飲む方もいるほどですよ」。大住さんは、ヘルシー飲料としてもマテ茶を推奨する。「店の日本人スタッフがマテ茶を飲み始めるようになって、すぐにお通じがよくなったと言うんですよ! 驚きましたね。さらに不足しがちなミネラルも多く含まれていますし、ダイエット効果があるとも言われていますから」。やはり“飲むサラダ”マテ茶は、女性にうってつけのようだ。
そこに目をつけた「レストランテ カリオカ」では、飲みやすさを追求し、マテ茶をアレンジしたフルーツカクテルをことしから販売。マテ茶同様、栄養価が高く“スーパーフルーツ”と呼ばれるアサイーとミックスした「アサイーマテ」(700円)、オレンジとレモンの果実を混ぜ、さわやかな「フルーツマテ」(700円)がメニューに並ぶ。そして6月には、アルコールカクテルの新作「Mモヒート」(1000円)も加わった。他店でもマテ茶カクテルの新風が吹く。アメリカ南部の製法を用いたバーベキューがウリの「BBQBAR B&LOIN」では、やさしい甘さのアルコールカクテル「ピーチマテ」(700円)で、肉料理との相性のよさを実感できる。ラテンカフェ「Futbol&Cafe mf」では男性でもさっぱり飲みやすいノンアルコールの「ジンジャーレモンマテ」(800円)を用意。このように、程よく甘くて飲みやすく、あと味スッキリなヘルシーカクテルが続々登場。この夏、マテ茶カクテルブームの予感が漂うとともに、来年サッカーW杯がブラジルで開催されることを考えると、さらに注目度を高めるに違いない。