梅沢富美男劇団と劇団ワハハ本舗の合同公演が、大阪・新歌舞伎座だけで上演される。物語は大正時代。富ちゃん(梅沢富美男)と梅ちゃん(梅垣義明)は、人気のオカマ劇団“男の泉”を支えるスターであり、男同士の夫婦。が、富ちゃんの隠し子騒動の上、劇団に検閲が入ることになり、劇団は存続の危機に! 構成・演出はワハハ本舗を率いる喰始。6月、ワハハ本舗の本公演「ラスト」大阪公演の前日に記者会見が行われた。その後、久本雅美と梅垣義明に直撃インタビュー!
Q:劇団のコラボって珍しいですよね?
久本:初めてです。個人的にプロデュース公演に出して頂いたりすることはあるけど、ワハハ本舗と他劇団というコラボは初めて。
梅垣:ていうか、劇団と劇団が一緒にやるって、形としてあんまりないんじゃない?
久本:新歌舞伎座さんの挑戦の心ですね。太っ腹なんですよ。新歌舞伎座さんのおかげ。
Q:劇中の劇団はワハハ本舗がベース?
梅垣:劇団の人間関係とか稽古の風景とか、設定がワハハによく似てると喰さんが。いわるゆバックステージものですね。
久本:私が言うのもヘンやけど、喰さんは、泣かせて笑わせて、笑わせて泣かせるの、うまいです。昔、若手がやった「大根の花道」っていう舞台があって、名作やねん。これも劇団の人情芝居で、私、それ見て泣いて、ワハハ本舗辞めるの止めたんですから。それぐらいグッと来た芝居なんですよ。だから大丈夫、おもしろいと思います。な?
梅垣:ワハハって、舞台は笑いだけでしょ。喰さんはこういう芝居好きだし、ボクらも嫌いじゃないもんね。人情劇、ボク好きだもん。
久本:私も梅沢さんの芝居見て感動しましたもん。梅沢富美男さんが世にド~ンって出た時に行きましたよ大衆演劇。一番後ろで立ちながら観ました。
梅垣:ボクも昔行ってたし、最近また大衆演劇観に行き始めてる。おもしろいですもん。おもしろいからずっと残ってると思うし。
久本:そやんな~。
梅垣:大衆演劇の中でも、この劇団は突出してますからね、やっぱり。梅沢さん、スーパースターですから。
久本:梅沢さんの力の素晴らしさ、私らもすごく勉強したい。
梅垣:うん。
Q:芝居はワハハ・カラーになりそう?
久本:なる、なります。
梅垣:完璧になってるね。
久本:喰さんやもん、演出が。梅沢さんのお客様にはストレートにやらないと受け入れられないかもしれないけど、喰イズム、ワハハ本舗イズムみたいなのがけっこう入ってる。梅沢さんの芝居は時代劇でしょう。それをワハハの私ら見たいなヘタな役者がやっても、なんもおもろないもん。ショータイム入れるとか何かせんとアカン、成り立たないと思う。
梅垣:ボクらはやっぱり喰さんが演出に入ってほしいと思いますね。
久本:鬼才やからね。
梅垣:うん。
久本:ま、梅沢さんは脱がないでしょうけど。
梅垣:ワハハも下ネタで脱ぐこと多いけど、絶対下品にしてないし。お客さんたちにも受け入れられると思いますよ。
久本:あなたが一番脱いでますけどね(笑)。
梅垣:品格がある、品格が!
久本:ただ脱ぐだけじゃなくて、喜んでもらおう、笑ってもらおう、そこに何か違うセンスを入れて、こういうやり方あるよっていう絶対的なアイデア持ってやってるので。
梅垣:脱ぐ脱がないは我々の一部であって、メインじゃない。
久本:そうそう。
Q:で、どんな感じの芝居に?
梅垣:「ミスターレディ・ミスターマダム」に似た臭いがするね。
久本:私の役は、ねずみ小僧。長屋のみんなに悪い奴から盗んだお金を与えてるけど、追われて逃げ込んだところがこの劇団で。そこからまたドタバタでいろんな問題が起こるんやけど、昨日喰さんに楽屋で、そのあとの話聞いて泣きそうになった。めっちゃええ話やわぁ、アカン泣いてまうわ、本番前にって。
梅垣:やっぱり喰さんというか、大衆演劇寄りというか。わかりやすくて、いい話だと思う。ボクは梅沢さんの奥さん、夫婦だから。
久本:梅ちゃんのセリフは膨大な量やね。それが心配やねん、いつもド~ンと出て来て、おいしいとこかっさらうようなところがあるのに、今回はずう~っとしゃべってるやん。これはもう無理やろうって。
梅垣:3分半が限度なんですよ。
久本:自分もお客さんも?
梅垣:そう(笑)。
※【その2】に続く
【取材・文=ドルフィン・コミュニケーション】