iTunesが期待の新人アーティストに贈る「iTunes New Artists2013」に選ばれるなど、ミュージックシーンでじわじわと躍進を続ける3ピースバンド「nicoten」。ポップでキャッチーな歌詞と、どこか懐かしさを感じる透明感あるサウンドが印象的だ。10/23(水)に発売される2nd e.p.「Exit e.p.」について、制作の思いなどを聞いた。
――まずバンド名ですが、“2個の点”が由来となっているんですよね。
岡田一成(ドラム)「はい、そうです。僕たちバンドが1つの点、ファンの方々がもう1つの点で、その点と点を音楽という線で結んでいきたいという思いを込めて名前を付けました」
広瀬成仁(ベース)「という究極の後付けだよね?」
岡田「もう、そういう茶々は今日いらないから!(笑)」
――ありがとうございます(笑)。1曲目は、タイトルにもなっている「Exit」ですが、心地よいループ感が耳に残ります。
宮田航輔(ボーカル)「今回収録した5曲のうち、4曲が新曲で『Exit』だけ昔からあった曲なんですけど、歌詞は当時から変わっています。この曲を初めて作った時が20歳で、なんとなく大人になりたくないなって思ってて、そういう思いを書いた歌詞になっていた。だけど23歳になったいま、プロデューサーの川口大輔さんと一緒に作業をしていくなかで当時の歌詞に違和感を覚えて。ガキくさいというか、否定だけしてる感じが恥ずかしくなって、歌詞を変えることにしたんです」
――「クーベルチュールのとける頃」は、クリスマスの街中で流れていそうなキラキラしたサウンドですよね。
岡田「もともとはクリスマスを意識して作ったつもりはなかったんですが、誰がどう聞いてもクリスマスっぽく聞こえるらしくてシフトチェンジしました(笑)」
宮田「“クーベルチュール”はチョコレートの名前なんですけど、チョコは30度以上になると絶対に溶けるんですよ。ということは体温に触れたら溶けるなと思って、そういうイメージで歌詞をふくらませていきました。季節感という意味でいけば、3曲目の『Like a Monster』もハロウィンを意識して書きましたね。この2曲で秋冬を感じていただけるとうれしいです」
――「グッジョブ!」は、OL目線で書いた歌詞になってますよね。「録り溜めたドラマを見ていたら不意に涙がこぼれ落ちた」だったり、男性なのに女性の思いを絶妙に表現しているなと感じました。
宮田「自分自身が、小学校の持久走大会とかで頑張れって言われるのがすごく嫌だったんですよ。頑張ってるのに頑張れって言われた時って、何かモヤっとしませんか?頑張らなくていいよって言われた時にこそもっと頑張れるのかなと。頑張れとストレートに言う曲ではなく、そっと寄り添うような曲を書きたかったんです」
――最後の「wonderful world」は、nicoten初のバラードナンバー。これまでにバラードを作ろうとは思わなかったのですか?
宮田「今までライブハウスのタイバンイベントが多くて、タイバンだと自分たちの演奏時間が30分とかになるじゃないですか。その時に、まだセットリストにバラードは必要じゃないなって思ってたんですよね。もちろん、作品を作る上ではあっていいなと思ってたし、今回自分たちの紹介となるe.p.なので、違う側面を見せるという意味合いで今回入れることにしました」
広瀬「バラード、始めました」
宮田&岡田「(苦笑)」
――ジャケットの女の子は、昔スピッツの「ルキンフォー」のPVに出てた子だとか?
宮田「そうなんです! スピッツさん主催のイベントに出させていただいた時にメンバーの皆さんにCDを渡したら、スピッツさんからそのことに気付いてくださって。MCでも触れていただけてうれしかったですね」
――素敵な偶然ですね。では最後に、今後の目標をお願いします。
岡田「日本全国にnicotenの音楽をどんどん広めていきたい、それに尽きますね」
広瀬「Mr.Childrenさんやスピッツさんのような国民的アーティストになりたいなと思う。カラオケでみんなで歌えるような、おじいちゃんやおばあちゃん、小学生でも知ってるアーティストになりたいです」
宮田「僕たちの曲はすごく聴きやすいのが魅力だと思っているので。目指せ、ヤフオクドーム!(笑)」
音楽性はさることながら、人懐っこいキャラクターも魅力の彼らが今後のミュージックシーンを明るくしてくれることを期待したい。【福岡ウォーカー】