劇団鹿殺し、充電前のラスト公演を2015年3月末閉館の青山円形劇場で上演!

東京ウォーカー(全国版)

2000年に関西で旗揚げ後、一度の充電を経て活動再開、東京進出と突っ走ってきた劇団鹿殺しが、この秋から再び充電期間に入る。演出の菜月チョビの海外研修のため、この一年は劇団員それぞれがそれぞれの持ち場で放電かつ蓄電することになる。充電前の公演ということで、いろいろな思いがある菜月に心境を聞いた。                    

「旗揚げ(2000年)してすぐにメンバーの就職で1年活動を休んだ以外は12年間、ずっと走り続けてきたので、本公演をお休みするのはなんだかとても新鮮な気持ちです。ですが、私だけでなくメンバーそれぞれも個人個人に立ち返ってやりたいことをやる1年を持つのは東京での活動も8年目に入った今、とても有意義だと思います。休止というより、充電という言葉が合う感じなので、充電になることはインプットもアウトプットもどんどんストレスなくやって行きたいと思います」と非常に前向き。また、研修先のカナダについても「初めての土地なのですが、演劇祭がとてもさかんで小さな街でも年のビッグイベントとして楽しまれていると聞いています。いろいろな街でどんな風に演劇が日常の楽しみになっているのか、お客さんの様子を1番見たいですね。いつかは劇団でも参加してみたいです」と意気込みを語る。

今回の公演については「充電前とか派遣前とは思えぬジタバタ感ですね。ジタバタしています。演出というより、出演者、スタッフ、それぞれの人間の歴史でできているような作品なので、人間ひとりひとりのあったかさ、滑稽さを楽しんでもらえたら。円形劇場で初めて取り入れた楽隊の演奏もあります。電車を楽隊が演じて、線路をグルグル回るのですが、円形ならではの生の楽器が届くのも体感してください。私たちの素のガチャガチャ不器用なところがそのまんま出た、私たちらしい充電前公演だなあと思います」と慌しい中にも冷静な目線の菜月だ。一方で、脚本の丸尾丸一郎は、「2009年に青山円形劇場初進出で上演した『電車は血で走る』は、劇団の自伝的ストーリーと楽隊の電車が円形劇場を走る演出で、代表作となりました。今回の『無休電車』は『電車は血で走る』から五年後の物語です。一年間の充電を前にもう一度、僕らの物語を楽隊の電車で紡いでみようと思ったわけです。今まで劇団鹿殺しを応援してくださったお客様にも、初見のお客様にも、必ず見届けてほしいですね」と見どころを。また、活気あふれる稽古場では「今回ゲストで参加いただいてる美津乃あわさんは、“あわメイク”と呼ばれる濃いメイクで有名な女優さんです。初めてのかつら・メイク有りの通し稽古の日、僕が目をつぶったあわさんを下から眺めるシーンでのこと。付けまつ毛が目の上1cmにあり、完全に目が四つに見えてしまい、吹き出してしまいました!」とベテランゲスト陣の意外な場面に遭遇したこともあったようだ。

菜月の充電期間中は丸尾も自身の活動に集中するようで、「これまで劇団優先で何事も考えてきたが、この一年はこれからの自分の演劇活動を見つめ直す時間と思っています。具体的に言うと、自らプロデュースした公演での脚本・演出作業、小説などの書き物、映像なんかも撮ってみたいと考えています」。充電前の貴重なラスト公演は10月14日(月・祝)まで。【東京ウォーカー】

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