九州から独創的な酒文化を創造発信する「九州酒匠乃一座」が、新しい分野のスイーツに挑戦している。その名も「酒屋スイーツ」。読んで字のごとく、お酒をふんだんに使ったスイーツのことだ。酒好きで大の甘党の記者としては、かなり興味をひかれたので、九州酒匠乃一座の広報担当・穴井さんに「酒屋スイーツ」を立ち上げた理由を聞いてみた。
「経済不況が止まらぬなかで、若者の酒離れが進んでいて、お酒の品ぞろえだけをよくしても消費者は酒屋に集まらない時代になってきました。そこで、消費者が酒屋に入るきっかけのひとつとして、”デザート”を思いつきました。これなら、お酒が苦手な人でも、より身近に感じでもらえます。その第1弾として、『酒屋スイーツ』の取り組みを始めたんです」
さまざまな試行錯誤を重ねて最初にできあがった商品が、「スウィーツ・シャンパーニュ“ドン・ペリニヨン”」。シャンパーニュの頂点に立つ「ドン・ペリニヨン」の精錬された上質な味が楽しめるパウンドケーキだ。ドンペリを練り込んだ生地からはしっとり上品な香りがこみ上げ、ドンペリに漬け込んだクランベリーが生地と絶妙にマッチした、とても贅沢な仕上がりになっている。
また、ケーキの元となる小麦は国産のみを使用、生地の中に散りばめられた赤く光る大粒のクランベリーはフランス産と、素材にもしっかりとこだわりをみせている。
長さ約18cmで、販売価格は2100円。ドンペリの風味を味わえるというスペシャリティがついたケーキだと思えば高くは感じない。福岡県では県内の酒屋11店舗で販売していたが、バレンタインのころから徐々に火がつきはじめ、現在ではほとんど品切れ状態とのこと。事務局に問い合わせれば、入手できるお店を教えてくれる。
長引く不況に歯止めがかからず、「安・近・短」ばかりが頭に浮かびがちだが、たまにはちょっと贅沢してみるのも一興。ドンペリケーキに舌つづみを打ち、プチセレブな春のひと時を過ごしてみてはいかがだろうか。
【九州ウォーカー/山田晃裕】