2013年も残りわずかとなった。Walkerplusでは様々なジャンルから2013年ならではのトレンドを検証、さらに2014年の展望を予測してみた。今回のジャンルはゲーム。各ハードで様々なヒット作が発売された他、ソーシャルゲームやブラウザゲームにも多数の注目タイトルが登場し、大いに活気付いた印象を受ける2013年。2014年には、いよいよ話題の次世代機が日本でも発売されるが、それに合わせて業界はどのように変化していくのか?そして2013年のトレンドはどのようなものだったのか?週刊ファミ通の林克彦編集長に話をうかがった。
――早速ですが、2013年はどういったゲームがヒットしたのでしょう?
「ゲームは、特定のジャンルだけが集中してヒットする業界ではないので、一概には言いにくいのですが、ハード毎のソフト販売本数を見てみると、ニンテンドー3DSが頭一つ抜きん出て強かった印象を受けますね。後半になり、『モンスターハンター4』や『ポケットモンスター X・Y』といったヒット作が立て続けに発売された他、12月には『パズドラZ』や『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』も発売されたので、年末に改めて計算すれば数字はさらに伸びるでしょうね」
――何かトレンドのようなものはありますか?
「最近の傾向として、好セールスを記録するタイトルは“人との繋がり”を意識した内容であることが多いですね。たとえば『モンスターハンター4』は最大4人でマルチプレイが楽しめますし、『ポケモン X・Y』や『とびだせ どうぶつの森』も、すれちがい通信による人との繋がりが、ゲームを楽しむうえで欠かせない要素になっています。そこを上手くアピールして、ユーザーの関心を引くことができたタイトルは、口コミやインターネット上で評判になり、ランキングのような結果に繋がっていると感じます。この傾向は携帯機に限らず、据え置きでも見られ、1人で遊べるモードの他に、オンラインで協力プレイや対戦プレイが楽しめるモードが搭載されたタイトルが主流になってきています」
――そんななか、予想外のヒットを飛ばしたタイトルはありましたか?
「予想外というわけではないのですが、想定を遥かに上回る勢いで大ヒットしたのが『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』です。本作は、とにかく完成度が高いんですよ。遊んでいるうちに、自然と操作方法が理解できる仕組みになっていたり、ストーリーに沿った軽めのクエストから始まり、高難度クエストに徐々に導くゲームバランスなど、MMORPG初挑戦の人でも安心して楽しめるようになっています。間違いなく2013年を代表するタイトルの1本ですね」
――他にも、編集長のお勧めタイトルはありますか?
「ノーティドッグというアメリカの製作会社が手掛けた『The Last of US』が良かったですね。こちらは『アンチャーテッド』など、アクション性を重視したタイトルを多数開発してきたメーカーなんですけど、本作ではストーリーにも力を入れていて、まるで映画を見ているような感覚で、作品の世界にぐいぐい引き込まれてしまいました。海外のゲームには、ここまで人の感情や機微に焦点を当てた作品はなかなかないので、新鮮な感覚で楽しめましたね。もちろん、アクションの出来映えも非常に良いので、未プレイの方は年末に遊んでみることをお勧めします」
――携帯ゲーム機でお勧めタイトルはありますか?
「メジャータイトル以外から選ぶと、ニンテンドー3DS専用ダウンロードソフトの『ソリティ馬』が面白かったですね。いわゆる競馬ゲームなんですけど、レースの途中でソリティアをすることになり、その結果次第で馬の進行ルートが有利にも不利にもなるんです。ソリティアがうまくいくと、良いポジションが取れたり、馬がスピードアップしたりして、好成績に繋がっていく。このシンプルではあるものの、ついついはまってしまう感覚は、昔ながらのファミコンのゲームに近いものがありますね」
――2013年はソーシャルゲームやブラウザゲームの隆盛も目につきましたね。
「そうですね。特に『艦隊これくしょん ~艦これ~』がすごかった。こう言うと失礼ですけど、まさかこんなに大ヒットするとは思っていなかったので、ただただ驚くばかりです。このタイトルに関しては、戦艦を可愛い女の子に擬人化するという着眼点が良かったし、ゲームのシステム自体も良くできているんですけど、それらに加えて、運営陣のサービス提供体制が非常にしっかりしていたことも、多くのファンを獲得した理由の1つだと思います。ユーザーからの意見に真摯に向き合い、Twitterなどキャッチボールをしつつ、より良い形でゲームを運営していく。そういった“運営とユーザーが一緒になって作品を盛り上げている”という雰囲気は、これまでのブラウザゲームには見られなかったので、2014年は『艦これ』にならって、業界全体にこういったスタイルが定着していくかもしれませんね」
後半に続く。【取材・文/田井成樹】