4月4日から6月30日(月)まで、神奈川県箱根町の岡田美術館では、66年ぶりに発見された江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿の幻の大作「深川の雪」を公開中だ。同館は岡田和生名誉館長が収集した日本絵画をはじめ、東洋陶磁や仏教美術など多数の美術品を収蔵する大型の私立美術館。2013年秋、箱根に誕生し、話題になっているというので訪れてみた。
箱根小涌園の温泉施設ユネッサンのすぐ隣に位置する岡田美術館。まず驚いたのは、その施設の大きさだ。5階建ての壮大な建物で、展示面積は約5000平方メートル!同館広報担当者は「約350点ある作品を全て見て周るのでしたら、最低でも1時間半くらいかかると思います。かなりボリュームがありますので、実際は1日がかりで見ていただけたら嬉しいです」と教えてくれた。さらに同館は庭園や足湯も併設しており、膨大な美術品と共に楽しいひと時を提供してくれる。
そして、最初の注目どころとして訪れ、感動したのは、1階の中国陶磁器エリア。「これだけの中国陶磁器が常に見られる場所は、日本にはほとんどないと思います」と同広報は話す。特に見ておきたいのが、明時代に作られた青花花唐草紋鉢(せいかはなからくさもんはち)だ。非常に薄く作られていて、外から見ると、白磁の地に内側に描かれた青い文様が透けて見えるほど。気品溢れる立ち姿に思わず見入ってしまった。
次に印象的だったのは、やはり期間限定で開催されているレアな展覧会「特別展示 再発見 歌麿『深川の雪』」。「深川の雪」(199cm×341cm)は「品川の月」「吉原の花」と共に、歌麿が描いた「雪月花」3部作の1つとして知られている。歌麿肉筆画の最高傑作と評されており、その作品の大きさは見るものを圧倒する。描かれた女性群像は華やかで、ディテールの細密さにも驚くばかり。化粧をする芸者、火鉢を囲む芸者、遊びに夢中になる芸者などがぎっしりと描写されており、同館ではそれらをじっと眺めて楽しむ来場者も多く見受けられた。ちょっと遠出したいゴールデンウィーク、この岡田美術館で美と出会う楽しさを体感するのもお勧めだ。
また、箱根には注目観光スポットが揃っているので、休暇中には併せて訪れたい。「モディリアーニを探して」展を開催中のポーラ美術館や、世界最大の旅行口コミサイトのトリップアドバイザー「外国人がクールと評した日本の観光スポット20」で、多くの人に「Cool!」と言われ、2013年秋の同ランキングで15位にランクインした箱根登山電車など、見どころが盛りだくさんなのだ。もちろん、全国屈指の知名度を誇る温泉地なので、温泉宿や日帰り温泉施設も充実している。注目スポットをじっくり巡って、是非とも癒されてほしい。【Walkerplus】