武井壮の勢いが止まらない。ご存知、地上最強の“百獣の王”を目指し、日々切磋琢磨してトレーニングに励む彼は、タレントとしても絶好調だ。5月2日より、ついにTOKYO MXで、彼の地上波・冠レギュラー番組がスタート。題して「武井壮しらべ ~誰もやらなきゃオレがやる!!~」(毎週金曜23:30~24:00)。なんと、初回はノーギャラで引き受けるという男気を見せた。早速、武井にインタビューしたところ、人生を楽しむヒントが見えてきた。
武井壮といえば、陸上競技・十種競技の元日本チャンピオンで、ゴルフ、野球、ボクシング、陸上、柔道など、さまざまなスポーツで力を発揮。今度はその筋金入りの熱いスピリットとチャレンジ精神が、冠番組で試されることになる。この番組は、興味があるけど、自分でやるのはちょっと……、という内容に、武井が真っ向から挑むというユニークな情報バラエティだ。いきなり韓国ロケを敢行し「カジノで大金を賭けて本当に勝てるのか!?」を、武井が体当たりで検証する。
初回のノーギャラというのは本当らしい。「海外ロケもありますし、アシスタントさんを仕込んだりもしなきゃいけないから、俺がギャラをもらうくらいだったら、その分を制作費につぎ込んでくれと言ったんです。まあ、自腹で大勝負をするという意味もありましたから」。
“誰もやらなきゃオレがやる!!”というサブタイトルは、武井本人が付けたそうだ。「人生、いろいろありますが、俺のなかでは、やるかやらないかだという気持ちがあります。シンプルに言えば、やったのとやらないのとでは、やった俺の方が良い。ただそれだけです。やらないとゼロで、何も起きない。でも、やると決めて、そこに向かって歩いていけば、もうゼロじゃないんです。たとえ、そこで断念したとしても、ゼロよりは良いです」。
武井壮といえば、世間ではスーパーポジティブだと評されているが、本人は必ずしもいつもそうではない、と言う。「俺だって、何でもかんでも受け止めてやるぜという気持ちが常にあるわけではないんです。俺だってやりたいことはありますし。それに、なるべく人生をやりたいと思ったもので、埋めていきたいという気持ちがあります。だって、やりたいことがない時の俺は、顔が死んでいたり、覇気がなかったり、やっても効率が悪かったりするんです。ただ、やりたいと思ったことをやっている時の武井壮は、まあ、やってくれますよ!」。
実際、彼は大学時代に21歳で陸上を始め、独自のトレーニングを重ね、その2年後に早々と陸上の十種競技の日本チャンピオンに輝いた。ちなみに、十種競技の100mのベストタイム10秒54という日本記録はいまだ破られていない。
ただ、番組は、武井がやりたいことをやる番組ではなく、むしろ無茶ぶりを強いられる企画だ。でもその内容ですら、武井にかかれば、こんなポジティブシンキングとなる。「最初はそんなのやりたくないよって思うんだけど、俺がそう思うことは、ただ単に入口にしかすぎない。実際、一歩踏み出してやってみたら、それがまた経験になる。無茶ぶりって言葉も、要は『ほら、これをやってみなさいよ』と振ってくれているってことでしょ。それらは、自分では考えつかない内容だし、ありがたいチャンスだとも思っています」。
彼は、番組における自分自身の役割について“特攻隊長”だと捉える。「みなさんにもし、踏み出しにくい壁があるのなら、『武井壮、ちょっと行ってみてくれないか?調査報告が聞きたいんだよ』と、そんな感じで見てほしい。やりたいことをやって生きていきたいということが俺のテーマだけど、やりたくないと思ったことも、自分のやりたいことに変える力を発揮できたらうれしいなと。実際に、これまで俺はそうやってきたんだし」。
また、武井は、テレビに出演し、視聴者に見てもらえることにとても感謝している。「俺は、みなさんの力をもらって毎日生きているので、ガンガン成長していますし、そういう自分に毎日楽しく向き合えている。でも、みなさんも秘めている力を隠してるだけなんです。だから、そういう力の扉を開く番組になればなと。でもまあ、そんなふうに見てくれる人もいないとは思いますが(苦笑)。ただ、『バカだな、武井壮』で終わりでも良いんです。『バカだな、俺』と笑顔で言える時間って、意外と自分を成長させてくれる時間だったりするので」。
つまり、視聴者の背中を押せるような番組を目指すということですか?と尋ねると、武井は「逆です」と冷静に答える。「俺がみなさんの背中を押すというようなおこがましい気持ちではなく、武井壮が、みなさんに背中を押されて前に出るんです。これまでもそうでした。前に出ちゃったら、しょうがない。出たら武井壮、成長しますから。今回は、番組に冠までつけていただき、さらに成長させていただけるなんて、すごくありがたいです」。
どこまでも熱く、どこまでも謙虚。「武井壮しらべ ~誰もやらなきゃオレがやる!!~」は、ある意味、武井の人生の延長線上にある、人生のトライアル番組となりそうで、大いに期待したい。【取材・文/山崎伸子】