カナダと日本をつないだ運命の一冊。「花子とアン」の世界に迫る展示会が開催

東京ウォーカー(全国版)

戦前後の日本、激動の時代に命がけで小説「赤毛のアン」を翻訳した村岡花子。NHK連続テレビ小説「花子とアン」の放送で注目されている彼女と「赤毛のアン」の作者ルーシー・モード・モンゴメリの足跡を紹介する展覧会「モンゴメリと花子の赤毛のアン展~カナダと日本をつないだ運命の一冊」が、5月21日(水)から6月2日(月)まで日本橋三越本店で開催される。

1874年、カナダに生まれ、作家として、牧師の妻そして母として生きたモンゴメリ。「Anne of Green Gables(赤毛のアン)」は1905年から約8ヶ月の歳月をかけて彼女によって書かれた。物語の主人公は、カナダ東部のプリンス・エドワード島の片田舎で暮らす老兄妹に引き取られた少女アン。好奇心旺盛で想像力豊かなアンが、2人と一緒にグリーン・ゲイブルズ・ハウス(緑の切妻屋根の家)で暮らしながら、生涯の友と出会い、愉快な事件を次々と起こしていく中で、素敵な女性に成長していく姿を描いた。小説の中で美しく描かれたプリンス・エドワード島は、100年以上たった今でも多くのファンが訪れている。

花子は1893年、山梨県生まれ。10歳で東洋英和女学校に入学、10年間を東洋英和で寄宿生として過ごす。在学中に英語の小説を翻訳して友人に聞かせるほど英語力をつけた花子は、卒業後、教師・編集者として活躍。第2次世界大戦中、花子は編集者時代のカナダの友人から贈られた小説「Anne of Green Gables」を戦火の中で翻訳。出版の当てもないまま、いつか日本の子ども達がアンに出会えることを信じて、翻訳に打ち込んだ。戦後、1952年になって花子の思いのこもった物語は「赤毛のアン」として出版され、60年たった今でも世代を超えて愛され続けている。

本展覧会ではモンゴメリの「赤毛のアン」の直筆原稿の一部、彼女の愛用品を展示する。また花子が、戦時下に翻訳を続けた「赤毛のアン」の原書と直筆原稿、またモンゴメリの愛用品も公開。三笠書房から1952年に出版された初版本も展示される。日本橋三越本店ではカナダ物産フェアも同時開催。豊富な種類のメープルシロップをはじめ、クッキーやキャラメルなどアンの母国の食品が販売される。

同展示会は、この後、福岡県北九州市、大阪市中央区、岡山県岡山市、沖縄県那覇市他で開催予定だ。【walkerplus】

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