“デフレにピリオドを打つべく現れた”という謎の大富豪とインフレパーティー野郎共。そんな触れ込みで2013年にデビューした正体不明の4人組アーティスト、orz(オーアールゼット)が今、インディーズシーンを賑わせている。5月14日付のUSEN HIT J-POP総合ランキングで「NTR-ネトラレ-」が6位、USEN インディーズランキングで2週連続1位を獲得。ジャパニーズEDMやダンスシーンをかき回す存在となっている。
そもそも、orzとは、地面にうなだれる姿、がっかりする姿を表したネット用語。だが最近、このorzのフレーズ、別の場所でよく見かけないだろうか。動画サイトFC2のストリーミング動画を再生する直前に執拗に流れる広告で、アーティストorzのPVを目にした男性諸氏はきっと多いことだろう。大勢の水着ギャルをプールサイドにはべらし、祭りのように馬鹿騒ぎするデビューシングル「世界はひとつ」のPV。ふざけた野郎共め!と思いながらも、気になっていた方も多いのでは?
orz公式サイトによると、メンバーはSIGHT(VOCAL/RAP)、JYO-Z(VOCAL/RAP)、BONES TANAKA(VOCAL/RAP)、UKON(DJ)の4人。写真はそれぞれ公開されているが、名前以外の素性は明かされていない。正体不明のプロモーションによって、既にネット上では多くの憶測が流れ、「メンバーの大富豪って誰だ」「作詞作曲は誰がしているのか」など、勝手な噂が立っている状況は、まさに彼らの思うつぼではないか!?
アゲアゲ系の見た目やプロモーションに関心がいきがちだが、その音楽性にもシーンの反応は上々だ。2013年6月の「世界はひとつ」でデビュー後、「NTR-ネトラレ-」「Kickass」と3枚のデジタルシングルをリリース。さらに、シングル2枚を収めたスペシャル特典付のシングルコレクションを限定2000枚で発売し、9800円という高額ながら、既に完売の人気ぶり。なかでも「NTR-ネトラレ-」は上述のとおりで、今やクラブシーンを賑わすほどの一曲になっている。
そんな彼らの注目を集めるきっかけとなったPVにも注目したい。「NTR-ネトラレ-」では、クラブを貸し切り、スタイリッシュな映像の中にエロさとクールさを凝縮。また、最新シングル「Kickass」のPVでは、リング上を舞台に、本物の女子プロレスラーの激しい攻防とダンサブルな楽曲を組み合わせ、独自の世界観を演出している。彼らのホームとなるクラブシーンでのオンエアを意識したであろう、クールかつセクシーなPVはインディーズのものとは思えないクオリティーで、まさに一見の価値ありだ。
世界中で大きなムーブメントとなっているEDM(=Electronic Dance Music)をベースとした音楽と、不景気な世の中を嘲笑うかのようなアゲアゲなテンション。加えて、男性を喜ばせるサイトの動画広告に目をつけるプロモーション展開や、素性を明かずに情報を小出しにしているティーザー広告の手法など、実は綿密に練られた計画性も感じさせる。一過性のブームとして“orz=がっかり”させない強いポテンシャルを秘めていることは間違いないだろう。
6月22日(日)開催の、夏の始まりを告げる九州最大のインディーズFES「MUSIC MANIA」への出演も決定したorz。2014年夏は“がっかりさせない”orzが熱いパーティーを各地で展開してくれそうだ。【Walkerplus】