※【その1】の続き
_髪を切る単純な行為が精神性に与える影響ってすごいですよね。私(インタビュアー)もちょうど長かった髪をばっさりと切ったタイミングで「髪を切りました」を聴いたので、「おお!」という気持ちになりました(笑)。
井手:え!そうなんですね!なんかこう、フットワークが軽くなりますよね!そうすると、もしかして髪の毛に何かよくないものが溜まってたのかな〜?って考えちゃいません(笑)?今の自分の変わりようは、髪と一緒になにか凝り固まっていたものが削ぎ落とされたからなんじゃないかと思ってます(笑)。
_間違いない(笑)。やっぱり今回のアルバムは、シチュエーションもすごくリアリティがあるものばかりで、いろいろ想像しましたけど…(笑)。
井手:実は私、このアルバムを作っているとき…恋をしていまして、それが全然うまくいかない時期だったので(笑)。でもすごく楽しかったんですよ。自分が誰かに夢中になれていること自体が楽しいっていうか。でも全然、無理だろうなって感じだったので、ずっと切ない気持ちに溢れてましたね。そういう気持ちの傍ら、「こういう時にこそ曲を書かなきゃ」ってずっと思っていました。切ないですけど、そういう状況からくる気持ちが全部、今回のアルバムに入っている曲たちに繋がっているんじゃないかなと。そうやって自分で自分を観察してるっていうか、状況から得ている感情を客観視しているところはすごくあります。そして曲になってそれを歌った時に、すごくデトックスできていることにも気付きました。なので、悲しくなったらすぐ歌詞を書く!っていうパターン(笑)
_ままならない恋愛が楽曲の源になるという。「飾らない愛」も、その難攻不落の恋の断片を覗き見ているような…(笑)
井手:ハハハハ(笑)。この曲はいろいろな捉え方が出来ると思うんですけど、私の中ではいわゆる『恋愛ソング』ではなくて、母の事を書いた曲なんですよ。
_あっ、そうなんですね。
井手:親や家族って、小さい時からずっと大切にしてくれているのに、馴れ合いもあってつい冷たい言葉が出てしまったりしちゃうじゃないですか。まだ小さい時に可愛い馬の人形をもらったんですけど、お姉ちゃんのほうは可愛いピンクの鬣なのに私のはブルーだったのが気に入らなくて「こんなのいらない!」ってお母さんの目の前で思いっきり投げ飛ばしたんです。その時にお母さんが泣いていたのを大人になってからもずっと記憶に残っていて。母はそんなことまったく覚えていないみたいですけど、その時のことをいま歌にしたいなって思って。謝罪の気持ちというか、感謝の気持ちというか。
_すごく可愛い歌ですよね。スタートするワンマンライブの構想は出来てきていますか?
井手:私、すごくアタフタするたちなので、まず一番最初にMCの内容も含めて紙のうえに起こしてからライブの空間全体をイメージするようにしているんです。自分がどういう感じでステージに立っていて、照明はこうで…みたいな細かいところまで想像してから挑むのですが、毎回自分がそうやって想像していた以上の反応を返してくださるので、そのお陰で本番はよりアドレナリンが出てきます(笑)。大阪は今までわりとライブやってきた場所なので、なんだか空気がほっとするんですよね。地元の宮崎に継ぐ「なんかほっとする感」がありますよ!是非アルバムを聴きこんでからライブに遊びにきていただきたいです!
【取材・文=三好千夏】