【その2】6/18にメジャーデビューしたWiennersって? でんぱ組.incへの楽曲提供でも知られるVo.玉屋2060%に直撃!

関西ウォーカー

※【その1】の続き

_サウンドを異質な存在にしているのが、歌詞の中に見えるご本人の情緒不安定な感情だったり、女言葉を使った意味深な表現だったり。まずポジティブ一辺倒の曲がない。ご本人の揺らいでる感じがそのまま落とし込まれていて、狂気よりももっとユルい感じのダークな感じが見えるんですよね(笑)。微笑みを通り越した高笑いの恐さというか(笑)。

玉屋:おお、そこまで読み解いてもらえるなんて嬉しいですね(笑)。確かに、僕たちの曲って曲調自体はアップテンポなものが多くて明るいんですけど、その裏側に狂気じみた恐さとか悲しさが見え隠れしますよね(笑)。僕、悲しいことを表現する時に悲しい感じで歌って伝えられることなんてたかが知れていると思うんですよ。それよりも、すげえ明るいメロディとかで、例えば別れを切り出されたりしたら、なんとも言えない感情になると思うんですよ。その「なんとも言えない感情」を揺さぶるのが音楽かなって思うんで。対比として見せることで、ひとつの“悲しい”っていう感情がすごく立体的に見えてくるような気がするんです。女性言葉の歌詞については、僕自身がすごく艶やかでセクシーなものにすごく憧れがあって。きらびやかなんだけどちょっと恐いようなもの…妖艶な雰囲気に惹かれるんですよ。なんとなく「この世のものじゃないような雰囲気」をまとっているものってあるじゃないですか。僕、高校生の時にすごく好きになったAV女優がいたんですけど、なんかどんどん存在感が浮いてくるっていうか、この世に存在しているとは思えなくなってきたことがあって。

_笑。幻みたいな。

玉屋:そうそう、本当に幻みたいな感じで。肉感的な存在感がまるで感じない。そういう感じを表現するひとつの手法として女性の言葉を歌詞に使うことはありますね。

_MVもかなり…完全に“あの団体”がイメージされるものもありますけれども(笑)。

玉屋:これね、そうなんですよ(笑)。でも僕、このMVを撮ってる時にはまったく気付かなかったんですよ(笑)。

_むしろ、なんで気付かないんですか(笑)!

玉屋:いやもう、本当にわかってなくて(笑)。監督の口からも“あの団体”については一切出てこなかったし(笑)。ただ『何千年後かの宗教世界』というイメージだけを聞いて撮影に入ったので、言われるままにやってました(笑)。あとになって友達に「●●みたいだね」って言われて『ハッ!ほんとうだ!』って思って。全部が誇張されすぎててわからなかったという(笑)。

_笑。玉屋さんはでんぱ組.incさんに楽曲提供もされていて、ポップカルチャーにも関わっていらっしゃいますよね。ご自身の「ポップ」の定義とはどういったものですか?

玉屋:僕のなかでのポップって単に「解りやすい」ってだけの意味じゃなくて、アメリカのお菓子みたいな、絶対に身体によくなさそうな着色料のドぎつい感じのインパクト(笑)。身体に悪そうだけど、一周回ってなんかハッピーみたいな(笑)。あとは、人懐っこさもポップさの象徴かなって思いますね。自分が作る音楽も人懐っこいものであってほしいと思う半面、絶対領域を犯してきたらいつでも爪を立てるっていう…

_フクザツすぎる(笑)!でもその難解さが魅力ですよ、間違いなく。今回、ライブツアーも全国津々浦々ですが、ライブワンマンもありますね!

玉屋:今回はアルバムの曲は、ほとんどが「ライブで生でやる」ということを想定してできたものなんですよ。だからこそ、ライブで演奏することで初めて完成されるというか。ツアーが終わるころにはこのアルバムがどう変化してるのか楽しみですね。ワンマンも、どこまで面白いことが出来るのかほんとに未知数で。僕にとってライブは事件で、非日常(笑)。予定調和じゃなくて、なんかわかんないけど、なんかわかんない奴らが集まってきて、なんかわかんないけど気付いたらひとつになってるっていうっていうのがライブの魅力なんですよ。奇跡的な偶然の一致みたいな、そういう瞬間が一緒に味わえたら最高です。

【取材・文=三好千夏】

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