絶賛上映中! 映画「イン・ザ・ヒーロー」に出演の唐沢寿明にインタビュー

関西ウォーカー

特撮ドラマなどで俳優たちに代わって危険なアクションをこなす、陰のヒーロー・スーツアクター。映画「イン・ザ・ヒーロー」は、そんなスーツアクターたちにスポットを当て、彼らの夢と挫折、そして希望を描いた感動作だ。本作で1人の俳優としてハリウッドの超大作映画に出演するために、命をかけたアクションに挑むベテランスーツアクター・本城 渉を演じるのは唐沢寿明。かつて自身もスーツアクターだったという唐沢に本作への思いを聞いた。

―最初に本作のお話をいただいた時の率直な感想をお聞かせください。

「まさか、またやるとは思わなかったね(笑)。あとはこの年齢でできるのかって。でも演じていると昔のことを思い出して“もっとトレーニングをすれば昔やってたアクションも、意外とできるんじゃないかな?”って、変な方向に考え始めて(笑)」

―スーツアクターという仕事に誇りを持って一生懸命取組んでいる本城の姿が印象的です。唐沢さんから見て本城はどのようなキャラクターですか?

「とにかく欲がない人だね。本城に限った話じゃなくて、実際にスタントマンって、何か欲しいからスタントをやるって言うような人はいないね。今、自分が出来ることを一生懸命やるだけなんだよ。だからこそ尊敬される」

―演じる上で心がけた点などはありますか?

「(アクションは)昔を思い出してやれば大丈夫だと思ったね。あとはリアルに映るように、なるべく生活感を出したいと思ったので、家族や、仲間との関係(が見られるシーン)はナチュラルに出来ればいいなって。台本通りに話してはいるけど、台詞を台詞のように話すだけでは伝わらないからね」

―今回、本城を演じる際にスーツアクターだった時のことを思い出されたと言われましたが、思い入れのある出来事はなんでしょうか?

「撮影現場が採石場や、ダムみたいなところばっかりで、撮影中も周りに人がいなくて寂しかったことかな(笑)。顔が映らなくてもカメラの前では精いっぱいポーズを決めたりしてね」

―師弟関係となる一ノ瀬リョウ役の福士蒼汰さんとは今回が初共演でしたが、いかがでしたか?

「昭和と平成のギャップを感じたね。同じ事務所だし、親戚の子どもが遊びに来たみたいな感じ。お芝居に関しては彼の好きなように、やればいいと思ったんだけど、刀に関しては危ないと思ったら教えたりしましたよ。やっぱり基礎が出来ていないと、刀の振り方がバットみたいになってしまうから。すぐに習得するのは無理でも、意識がそこに向けばと思ってね。でも彼は基礎を教えても、すぐに仮面ライダーが出てきちゃう(笑)」

―スーツアクターの同僚・海野役の寺島さんをはじめ、映画プロデューサー・石橋役の加藤さん、元妻・凛子役の和久井さんら多くの俳優さんが出演されていますが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

「劇中とあまり変わらない感じだよ。寺島さんも加藤君も同い年なので、わいわい撮影してたね。ちょっと寺島さんが、口うるさかったかな(笑)。後輩の子に“倒立が下手!”って言ってたのに、いざ自分でやるとできなかったり(笑)おちゃめだよね。あと和久井ちゃんの演技はやっぱいいね。俺も何度も共演しているけれど、毎回すごく助けられる」

―唐沢さんのお気に入りのシーンはありますか?

「凛子と薬局で言いあって、怒られて帰って行くところかな。この映画にやっぱり家族の話は絶対に外せない。アクションだけを頑張っても感動にはつながらないからね。地味だけど、ああいうシーンの積み重ねが最後、感動につながるんだよ」

―熱く心打たれる台詞が出てきますが、唐沢さんの好きな台詞を教えてください。

「本城の“俺がやらなきゃ”だね。死のうが怪我しようが、やらなきゃいけないし、一ノ瀬のハリウッド進出という夢も無くなっちゃうからね。誰かのために陰の存在で居続けるってことが美しいんだよ」

―この作品を終えて、ご自身の中で何か変化はありましたか?

「現役のスタントマン(スーツアクター)の方々が、一生懸命頑張っている姿を見て、俺もより一生懸命やらないとダメだなと。日常だとどうしても忘れがちになる感謝の気持ちとか、いろんなことをこの歳で再認識できたことはとても良かったね」

―では最後に「イン・ザ・ヒーロー」の公開を楽しみに待っている読者の方々へメッセージをいただけますでしょうか。

「これは観るべし! 自分と重なる部分が絶対にあるので、泣かないと思っていても、必ず泣けます。一生懸命することは本当に大切で、一生懸命やっている人は感動的だからね」

【取材・文=リワークス】

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