「天下分け目の戦い」といえば、「関ヶ原の合戦」。だが、大阪にはもう一つの天下分け目の戦いがあった。それが「大坂冬の陣」(1614年)「夏の陣」(1615年)。徳川が勝利し、大坂は政治の表舞台から退いてしまったが、その代わりに町人の町、経済の中心地として発展を遂げた。いってみれば大坂の陣があるからこそ、現代の大阪があるともいえる。
それから400年。この節目の年を記念し、「大坂の陣400年天下一祭」が10/1(水)から開催される。そのPR武将隊として大坂冬の陣、夏の陣で豊臣方に付き、徳川と最後まで果敢に戦った5人の武将「大坂牢人五人衆」が「大坂RONIN5」(以下RONIN5)として現代によみがえった! 真田幸村、毛利勝永、長宗我部 盛親、後藤 又兵衛、明石掃部の5人が今度は「大坂の陣400年天下一祭」をPRすべく出陣する。関西ウォーカー編集部に来てくれた5人の武将にこれからの活動や「大坂の陣400年天下一祭」にかける思いなどを聞いた。
_皆さんの演じる武将たちはどんな人たちなのでしょうか。衣装もそのイメージですか?
井上(真田)「この衣装は真田の赤備えにちなんでいます。赤は戦の中でも目立つ色。見た目に加え、『行くぞー』という気構えを著す勇気の色、ポジティブな色。真田幸村自身も死を辞さずに戦いに挑んだということで、赤を身に着けたと聞いています。僕もRONIN5のトップに立ってみんなを引き連れていく役割です」
中山(毛利)「毛利勝永は頭脳明晰、冷静沈着な人だったと伝えられています。なので僕の衣装はそれをイメージした青。役回り的には雑学をいいたがる知識キャラ的な存在ですが、史実の毛利勝永は仲間思いで、愛妻家だったという逸話が残っています」
岩崎(長宗我部)「長宗我部 盛親は有名な長宗我部 元親の四男坊。そういう知識も最初はありませんでしたが、みんなで武将についていろいろ学びました。その過程で大阪城をはじめゆかりの地を訪れたりしているうちに、どんどん歴史が好きになっていきましたね」
吉本(後藤)「僕はこの鉢巻きを着けた瞬間、後藤 又兵衛になります。又兵衛は黒田官兵衛に仕えていた武将。最近大河ドラマでも登場しています。真田幸村とも仲がよく、最後、死を迎える瞬間まで戦の中で生きた、アツイ男です」
永井(明石)「私は明石掃部が現代女性に転生したという設定。最初はえっ?男?っていう感じでちょっと不安でしたが、勉強していくと、家族や家来に対してとても心の優しい人で、キリシタンでグローバル志向の人だと知りました。私も海外が好きなので親近感を持てるようになりました」
_歴史の勉強と共に、殺陣(たて)もずいぶん練習されたそうですね。
永井(明石)「私は初めての殺陣で、みんな男の子なので最初はスピードに付いていくのが大変でした。それで朝走ったり、刀を持って家の前で練習したり。近所の人に『どうしたの?』って聞かれて(笑)。プレッシャーもあってくじけかけたりしましたが、人前に立つことでなにかを伝えるためにパフォーマンスをするんだと意識が変わって、さらにモチベーションが上がりました」
岩崎(長宗我部)「ほかにも柳生十兵衛がいた柳生の郷に行って、そこで剣術や武術の指導を受けたこともありました」
中山(毛利)「男性メンバーは劇団Patchの公演で殺陣の経験がありましたが、ここで真剣を触ってその重みを感じたり、手裏剣を投げたり、弓矢を使ったり、武術の体験をしたのがいい経験になりました」
井上(真田)「いままで本物の刀を持ったことがなかったのですが、このときは手が震えましたね。いつもの模造刀なら手に当たっても切れませんが、真剣は納刀する時でも手に当たれば切れてしまう。恐怖と緊張感で心臓がバクバクしました」
吉本(後藤)「実際にむしろを切る体験もしました。切る前に対峙したとき、とても緊迫すると共に精神が統一できて武士の心構えみたいなものを垣間見られたように思います」
_これから大阪市内のイベントでパフォーマンスを披露したり、10月からは大阪城で来場者と一緒に写真を撮影したり、様々なおもてなしをされるそうですが、それにかける意欲やお客様へのメッセージをお願いします。
井上(真田)「RONIN5は大阪ならではの武将隊。各地に武将隊はあるけど、大阪のノリと、僕たちの若さなど様々な武器を生かして、パフォーマンスがきれいといってもらったり、一番注目される武将隊になりたい」
吉本(後藤)「大阪に来ていただいた人に僕らが先頭に立っておもてなしをし、大阪や僕らのことを好きになってもらって大阪を盛り上げたい。そして大阪を元気に、活気づけていければと思っています」
岩崎(長宗我部)「僕ら5人が行く先々で、『あの戦国武将たちが行くところではおもしろいことをやっているなあ』ということを感じ取って、大坂の陣400年天下一祭を知ってもらい、それで大阪全体を盛り上げていければと思っています」
中山(毛利)「RONIN5のモデルになった大坂牢人五人衆の生き様は本当にカッコイイ。男としてロマンを感じます。400年は運命的な数字。この年に生きてるというのは運命的なものだと思うので、その熱気、感動をみなさんにも伝えられたらうれしい」
永井(明石)「今回の『大坂の陣400年天下一祭』のキャッチフレーズは『大きく夢見るまち、大阪』です。秀吉様やこの5人の武将も含め、大阪から夢を見ていた人がいました。私たちもこの大阪から、日本全国、世界に羽ばたいていきたい。そして大阪から夢のパワーを発信できたらと思っています」
【取材・文=鳴川和代】