心の準備できてる? 震度7を体験してきた!

東京ウォーカー

1363回。なんの数字かわかります? 実はこれ、ことしの1/1から8/25までに日本全国で観測された地震の数。うち、震度5弱は5件、震度6強は2件起きている。「最近地震が多いな〜と感じてはいたものの、ここまでとは…」というのが正直な感想だろう。

そこで皆さん、防災のためになにかしていますか? 私はしてません…。これではいけない。「防災の日」も近いこの時期、知識・関心を深めようと「池袋防災館」(東京都豊島区)で震度7を体感してきた。

池袋防災館は、地震コーナー・消火コーナー・煙コーナーなどで体験しながら防災に対する知識・技術・行動力を身に付ける施設。消防職員の菊島公一さんに案内され、まず向かったのは「地震コーナー」。シチュエーションは台所だ。

最初は関東大震災規模の震度6から挑戦。正直、私はナメていた。「どれどれ、震度6とはどれほどのもんかね」。そんな余裕は、すぐに跡形もなく消えた。椅子に座って耐えてみたら、とにかく怖い。揺れているというより、部屋ごと振られている感覚。体験コーナーなので頭に物が落ちたりガラスが割れたりしないことはわかっていても、震えた。体験のようすを撮影してもらっていたが、顔を作る余裕なんてまったくない。

続いて震度7。今度は菊島さんの指示に従って、揺れを感じた瞬間に座布団を頭に置き、机の下へもぐり、机の脚を力いっぱいつかんだ。ガシャガシャと音を立てる窓、ヤカンが床に落ちる音が恐怖心をあおる。床に付けているひざが摩擦で痛い。震度6と7では揺れの激しさがこうも違うのか。終わると、記者は机ごと約50センチ移動していた。気づけばメガネも落ちているし、もう放心状態である。

「この装置で再現できるのは横揺れだけ。本物の地震は縦揺れもありますから、もっと激しいですよ。また、ケガをされては困るので床に滑りにくい絨毯を引いていますが、フローリングだと椅子も机ももっと動きます」(菊島さん)。意外だったのは“揺れを感じたらまず身の安全を(机の下へ)”という指示。まずは火の元の確認では?「昨年までは“地震だ、火を消せ”でした。しかしいまでは、震度5以上を感知したら自動的に消火するガスのマイコンメーターの全国普及率が99%を超えています。そこで昨年10月以降、まずは身の安全を確保するよう呼びかけを変えたんです」。屋内から外へ逃げるのは、物が降ってくる可能性があるので、賢明ではないらしい。揺れを感じたら、まずは身の安全を。肝に銘じたい。

次は煙コーナーへ。煙が充満した迷路のような通路を進み出口を目指すことで正しい避難行動を体得できる、というもの。入り口のドアを開けると、いきなり煙で視界がふさがれた。姿勢を低くし、非常灯の光をたよりに壁に沿って進む。だが、“早く脱出しないと”と焦るほど姿勢がつい高くなってしまうことに気づいた。「姿勢が高いと、煙を吸ってしまう。本物の煙は少し吸うだけでも呼吸困難になって、動けなくなるから危険です」(菊島さん)。さらに進んで、「よし、ドアだ!」と思って手をかけたら鍵がかかっていた時は、“体験”と頭でわかっていてもパニックになった。

その後、消火コーナーを体験して、最後に防災グッズを見学。「(グッズは)あまり堅苦しく考えず、アウトドア用品と同じ感覚で集めてみたらどうでしょう。避難所で少しでもリラックスできるよう、荷物のなかにゲームを入れてもいいと思いますよ」(菊島さん)。

震度7を体験して感じたことは、筋肉が硬直するほどの緊張感、これにつきる。「地震コーナー」から「煙コーナー」へ移動するとき、実はヒザが震えていた。“本物の地震とは違う”とはいえ、いざ大地震が起きたとき、この緊張感を体験しているかどうかの差は大きいのではないか。池袋防災館では、一人でも友人とでも、予約を入れればさまざまなコーナーが体験可能。あなたも、いつ襲われるかわからない震災にそなえ、震度7をぜひ体験してみよう。防災の意識改革には、地震の怖さを体で覚えるのが一番だ。【東京ウォーカー/荒木紳輔】

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