【その2】女優・満島ひかりの魅力とは? 蜷川演出で初の姉弟共演! 満島真之介が「ハムレット」について語る

関西ウォーカー

※【その1】の続き

Q:シェイクスピアって、同世代の人たちも知らないのでは?

ボクらの世代では、ほとんど知らないです。ビックリするぐらい。『ハムレット』って、ハムの挟まれた食べ物?っていう友達もいましたからね(笑)。僕の周りに読んでる人はほとんどいないですね。正直言って、ボクも多分この仕事をしていなかったら、何歳でシェイクスピアに触れていたかわからないんですよね。もうちょっと落ち着いてから、そろそろシェイクスピアとかドストエフスキーとか、いきますか、みたいな感じだと思うんですけど。でも、「ハムレット」は若いころに観た方がいいと思う。

Q:同世代の人をどう誘いますか?

ボクらが思ってることを、数百年前の作家も同じことを思っていたんだよってことを伝えたい。根底に流れてる若者の気持ちっていうものとかっていうのはね、すごく普遍的なものだから、そういうのをちゃんと伝えれば観に来てくれると思う。

ボクらは今、葛藤してる新しい時代にきて、モノも情報もあふれて、自分自身がどこにいるのかわからない状態。ほんと生きるべきか死ぬべきか、みたいなところにいると思う。こういうもの(携帯)に入って死ぬのか、こういうの捨てて、ちょっとうまく付き合いながら自分として生きて行くのか、そういう部分でも、今の自分にすごくリンクする気がしてるんですよ。

昔はほんとに、生きるべきか、死ぬべきか、だったと思うんですけど、生きていながら死んでるような若者、ボクらの世代にはすごく多い。まさに400年以上前にシェイクスピアが書いた「ハムレット」は、今の若者と同じような気持ちを描いている。だからすごい、だからずっと演じられてきているんだと思うんですよ。だから、一回そういうものを目の当たりにしてほしい。それを伝えたい。目の当たりにして何を感じるのかを大切にしてほしいなと。

携帯ずっと見てゲームばっかりやってるような子たちが、内容わかんなくても、あ、ボクのことじゃんとか、何かを感じることのできるタイミングはこの作品にあると思ってるんですよね。何百年前のことと今の自分とが、きちんとカチャリとハマるよって。

心や若者の持つ本質は昔も今も、まったく変わってない。あなたはあなたしかいないんだから、その今をせいいっぱい生きろっていうことを感じてもらえる気がするので、是非観に来てほしいんだよなぁ。

Q:真之介さんは3作目、お姉さんは初めての蜷川作品ですね。

はい。だから「ハムレット」に入った時、ボクが支えてやれることもあるだろうし。むしろ、初めてのひかりから得られることもあるだろうし。でも、稽古場とか、最初の入りとしては、ボクがいることがすごく力になるとは思うんですよ。それがまぁ姉弟の強みでもありますね。ボクが蜷川作品に関して先輩、という面では、お兄ちゃんになれるきっかけもあるんですよ。そういういろんな小さな点を少しずつ集めて形にしていくような、今回、そういうことが起きるかもしれないなと思うと、胸が躍るんですけどね。

お互いに最後の方になって「ほんとにあなたがいてよかった」ってなると思うんです。この長丁場、1人だったら絶対もたなかったんだけど、な、一緒にやってるよなって、人生ずっと語り合える同じDNAを持った人がいると、そういう感じになるんじゃないかなと思ってます。

Q:女優・満島ひかりの魅力は?

ウソがないんですよ。お芝居自体全部ウソをやってるんだけど、ウソがない。生活が見えるっていうのがボクからみてもすごく魅力。生活って、あの人からにじみ出るもの、ちゃんと生きてることが見えること。ちゃんと生きてるんだって思える女優さん。

ちゃんと生きてないなって人って画面に映ってる時はうまいけど、ん~、みたいな。じゃなくて、ちゃんと地に足ついて生きてるなって思う感じが、ウソがなく見えるということなんだろうと思います。うまいとかヘタとかじゃなくて。そういうところかな、ボクの中のあの人の魅力は。姉としての魅力もまったく同じだし。

Q:これまでいいキャリアを積んで、また次のステップへ。幸せですね。

幸せですよ。今、多分こんなに幸せな若手はいないっていうぐらい、自分で思ってますから。

【取材・文=ドルフィン・コミュニケーション】

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