「舟を編む」で第37回日本アカデミー賞・最優秀作品賞など多くの賞を受賞した石井裕也監督が戦前のカナダを舞台に、日系移民の野球チーム・朝日の活躍を実話をもとに描く最新作「バンクーバーの朝日」。朝日のメンバーが小柄な体型を生かして白人たちばかりの野球リーグで優勝し、差別や貧困に苦しむ同じ日系移民らに勇気や希望を与える感動作だ。妻夫木 聡演じる主人公・レジーの妹で、ハイスクールに通いながら、白人家庭の家政婦として働くエミーを演じるのは、今最も勢いのある女優、高畑充希。彼女に本作への思いを語ってもらった。
―今回、演じられたエミーとはどのようなキャラクターだと思われますか?
高畑「いまを生きる私には想像もできない激動の時代をエミーたちは生きていたと思います。彼女は差別や、貧困に立ち向かうような大人びた部分もあるんですが、思春期の10代らしい一面も持っている人です。すごく大きな壁にぶつかった時に、グッと押さえつけるところは私に似ているかなと思いました」
―今回、英語の台詞にも挑戦されていますが、いかがでしたか?
高畑「エミーは生まれたときからカナダに住んでいるので、自然な英語を話せるように撮影前から発音の特訓をしました。本作の直前に撮影をしていたドラマでも英語を話すシーンが多かったので、英語の台詞への戸惑いはまだ少なかったです」
―レジー役の妻夫木さん、朝日のエース・ロイ役の亀梨和也さんや、ムードメーカーのケイを演じた勝地 涼さんらと共演してみて、いかがでしたか?
高畑「朝日のメンバーは仲が良くて、野球をしたり、私を食事に誘ってくれたりもしました。妻夫木さんは、すごく視野の広い方で、劇中のレジー同様に撮影中も本当の兄のように優しく接してくれて、とてもかわいがってもらいました」
―本作の撮影を終えて、ご自身の中で何か変化はありましたか?
高畑「お芝居の奥深さや、楽しさを再認識することができました。今までは舞台への出演が多かったんですが、本作に参加し、もっと映画に出演したいと積極的に考えるようになりました。エミーの父・清二役の佐藤浩市さんらの演技を近くで見て勉強することもでき、私自身も成長することができたかな、と思います」
―2014年を振り返ってどのような1年でしたか?
高畑「映画やドラマなど、さまざまなジャンルに、挑戦させてもらえた1年でした。来年でデビュー10周年を迎えるんですけど、少しずつ積み重ねてきた経験が、一度ここで実った感じがありましたね」
―2015年に挑戦したいことはありますか?
高畑「ジャンルを問わず、さまざまなことに挑戦して、経験を重ねていきたいです。ここからまた次のステップに進むために、いろんなことにトライしたいと思います。プライベートでは、車の免許を取ったのでドライブしたいですね。まだ1度しか運転していないので、ペーパードライバーにならないように、たくさん乗りたいです」
―地元・大阪に帰ってきたときは、どのように過ごされていますか?
高畑「古着屋さんが好きなので、よく中崎町に行きます。カフェや本屋もたくさんあるので、1日歩き回っても飽きない街だと思います。大阪に帰ってくると思わず気がゆるんでしまうので、ゆっくり過ごしてしまいますね」
―最後に高畑さんが「バンクーバーの朝日」で伝えたいこととは?
高畑「監督をはじめ全員が、真剣に歴史と向き合って作った素晴らしい作品です。グッとくる場面がたくさんあるので、是非劇場で見てほしいです」
【取材・文=リワークス】