【その3】1/19(月)に主演ドラマが放映&2/5(木)~、舞台「真田十勇士」が再演! 15年の上川隆也に注目

関西ウォーカー

※【その2】の続き

主演舞台「真田十勇士」は、2015年1月8日から東京で開幕し、名古屋、大阪、福岡と巡演。また1月19日には主演ドラマ「テレビ未来遺産 ORANGE~1.17命懸けで闘った消防士の魂の物語~」も放映される。2015年は阪神淡路大震災から20年。当時、最前線で闘った消防士100人以上に取材して作り上げられた舞台「ORANGE」の初の映像化だ。あの時、現場で何があったのか…。助けられなかった数多くの命。その悲しさと悔しさを繰り返さないよう、日々奮闘している猪突猛進型の消防士を、上川隆也が演じる。

Q:神戸でロケをされたのですか?

上川:神戸での撮影は、現代を中心に撮っていきました。神戸の消防訓練施設ですとか、現在、主人公が過ごしている日々を神戸を風景に、という形で描いたんですね。

震災の現場は、オープンセットを組みました。でも、それはそれは、とてつもないセットでした。ボクは現場をもちろん存じませんけど、現場を知ってる人がちょっと息を飲むような。しかも他番組の美術さんが見に来て、写真まで撮って帰るぐらいの、よくできた、ほんとに震災のある一風景を切りとったかのようなセットでしたね。

やった自分が言うのもなんですが、セットも含めて、とても真に迫った物語が作れたんじゃないかなと思いますね。全面的に神戸消防の方々にもご協力いただいて。機材から車両から、人員に至るまで、ほんとにご便宜いただきましたしね。当時を、ボク自身が僅かばかりですが追体験をさせていただいたような、ぐらい。

Q:ドラマの印象は?

上川:その時の消防の人たちの心情を、ほんとに克明に描いてる作品だと思います。どんな思いで、その現場に赴いて、どんな思いでそこを立ち去らなければいけなかったのか、っていうことも含めて。きっと助けられた命も、あっただろうに。それをできない、もどかしさというか、そうせざるを得なかった現状がそこにあったっていうことを、改めて思い知らされて。

で、その人たちが今、神戸の消防を支えている。今、神戸のレスキューって、日本屈指と言われているそうなんです。それも無辺なるかなと思うぐらい。

どんな思いで救助っていうものに相対してるのかって、切々と思い知らされた気がして。一挙手一投足、我知らず気合の入った芝居になりましたね。

Q:この物語から伝えたいことは?

上川:とてもありきたりなんですけど、今の当たり前のすごさ、です。今、こうして街にビルが建って、ネオンがともって、車が行き来して、人々がほんとに何不自由なく過ごせてる街並みっていうのが、どんなにすごいことかっていうことなのかなって、思わされました。主人公が、三ノ宮の駅前でフラッシュバックに襲われて、当時の街並みを今の街並みに重ねてしまう瞬間があるんですね。そこから我に返って今の街並みを見て、深く息をつく。これがすべてかなって思ったんですよ。この日常を守るために、今日も出動していくんだっていう気がして…。

ものすごく過酷なんですよ、火災現場って。撮影ながらも、火を目の当たりにしてわかるんですけど、熱いってすごく怖いんですよね。ちょっと皮膚がチリっとするだけでもう、ものすごく怖い。でも、それを乗り越えて、その向こうにいる人たちを助けに行く消防士の方たちの想いって、いかばかりかと思って…。それが、返す返すも、日常を守るっていうことに繋がっていくって思うと、すごい仕事だなぁと思いましたね。

Q:自分の中に残るドラマに?

上川:なると思います、これは大きいですね、ボクの中でも。ほかの作品たちと直接比較はできませんけど、でも…自分は生き物だったんだって、火を目のあたりにして思うんですよ(笑)。ほんとに怖いので。これは消防に携わっている方々への、敬意の大きさに比例するとも思うんですけど、作品が同様にしてボクの中で大きな意味を持ってしまったように思いますね。いい巡りあわせを得られたなと思います。

Q:舞台「真田十勇士」で伝えたいテーマと似ているような…。

上川:そうですね、「真田十勇士」はある種エンターテインメントですし。でも、その中に隠れている、テーマが似て非なるというか、異なってるのに通じているというか。例えば守りたいもののために、とても大きな犠牲を払いつつも前に進んでいくっていうことだけをとっても、2つのテーマは同じラインの上にあるでしょうし。

それを何かというふうに言ってしまうことで、決めつけたくはないので、で、そこはご覧になっていただけたなら、感じてほしいと思いますけど。でも、やっぱり、人ってそういうものを持てるからこそ、人なのかなって思いますしね。

【取材・文=ドルフィン・コミュニケーション】

注目情報